環境建機リポート

2022 NEW YEAR

建物解体BUILDING DEMOLITION

圧砕パワーと効率性がアップした
最新鋭の超大型
建物解体専用機
SK1300DLCを導入!

井上工業株式会社

  • 課題
    建築物解体の増加を予想し
    より迅速、安全な解体を目指す
  • 対策
    超大型建物解体専用機を導入
  • 結果
    効率的な解体を実現。
    オペレータにとっての操作性と
    作業効率性も向上

最新鋭の超大型建物解体専用機
SK1300DLCで
解体工事に旋風を巻き起こす

山形県で解体工事のフロントランナーとして成長、産業廃棄物処理事業でも存在感を示す
井上工業は2021年秋、コベルコ建機の最新超大型建物解体専用機SK1300DLCを導入。
これにより、解体工事をこれまでになく迅速かつ安全に進め、事業の拡大を目指している。

山形市の百貨店の解体現場で活躍するSK1300DLC。
機械と解体する建物との距離をとることができ、安全性も向上している。
専務取締役井上洋輔さん

井上工業の出発点は1947年、現会長の井上尚さんの父、井上直一さんが始めた運送業だ。やがて砂利採取業に進出した後、解体工事部門を新設。需要が大きかったことで、90年からは解体工事を事業の中心に据え、成長してきた。
解体工事の対象は、住宅から橋梁や工場などの大規模なものまで多岐にわたる。それらの工事を通じて、解体技術や関連する法規制の知識、環境対策などを蓄積。91年にはグループ企業で廃棄物処理とリサイクルを事業とする東北クリーン開発を、2001年には解体工事・収集運搬業を行うディスポテックを設立し、事業を拡大した。
また、解体やリサイクルの経験を活かし、社会問題に対応した事業も手がける。1970年代以前の古い建物には、人体への有害性が判明したアスベストが使われている場合がある。同社はこの課題に取り組み、数多くの建築物のアスベスト除去工事も行っている。

今回の解体物件は、元百貨店だったという。
県内でも老朽化した物件が増えてきており、それらの解体需要の増大が予測される。

大規模建築にも対応、分解・組立の速さも魅力

井上工業はこれまで数多くの解体機を購入し、利用してきた。その製品選択のポイントを専務取締役の井上洋輔さんはこう説明する。
「操作性の良さは当然ですが、故障や不具合がないことも欠かせません。また作業効率を考えると、建物規模に対して余裕を持って作業できることや、分解・組立の容易さ、アタッチメントの着脱の速さなども重要です」
こうした点を考慮し、同社が新たに購入したのが超大型建物解体専用機SK1300DLCである。この機械には、4つ折れ超ロングアタッチメントが2仕様、3つ折れ超ロングアタッチメントが3仕様、インサート付きセパレートブーム、セパレートブームの計7仕様がある。そのなかで井上工業では今回の現場に対して、より大きな圧砕機が着装可能なインサート付きセパレートブーム仕様機を選択した。

「山形県内には、現在の耐震基準を満たさない古い建物がかなり残っています。そのため、特に山形市内では建物解体の需要が活発になることが予想されます。それに応え、効率的かつ安全に作業するには、さらに大型の解体機が必要と考えました。加えて、山形県における解体工事を手がけるトップクラスの企業として、他社にない重量クラスの機械で、ほかではできない解体工事に対応したいという思いもあります。SK1300DLCは、そのなかで当社のシンボル的な機械にしていきたいですね」(井上さん)
そう語る井上さんは、SK1300DLCについてこう評価する。
「まず、魅力として挙げられるのが、建物の高層から低層まで解体できる高い作業性能。アタッチメントも豊富で、当社が解体できる建物の範囲が広がりました。次に組立が速く、そのうえ輸送性も優れており、条件が整った現場ならすぐに導入可能。作業面でのメリットと営業面でのメリットの双方を兼ね備えた機械だと思います」

専用ニブラーで鉄筋コンクリートをつかみ、破砕する。アタッチメントが大型になり解体がしやすくなった。
メインブームのシリンダーが太くなったため、より大きな圧砕機が装着可能となった。

広い作業範囲で高層から地上階まで解体

今回、SK1300DLCを導入したのは、山形市内にある百貨店の建物解体現場。この建物は6階建てで塔屋が2階分あり、合わせて8階に相当する高さがある。解体工事の進行中に導入されてまだ1週間ほどだが、オペレータの後藤義治さんは同機を絶賛する。
「超大型機でありながら従来の機械に比べ、段違いにバランスが良いと感じます。一般的に解体機は揺れやすいものですが、通常の重機に乗っているような安定感があるので、高所での解体も安心です」(後藤さん)
力強いパワーと広い作業範囲を兼ね備え、高層階から1階まで一気に作業できるのもうれしい点だ。SK1300DLCの導入前は、まず50tクラスの解体機で上から5階程度を壊し、その後、より小さな解体機で低層階を壊していたため、機械が2台必要だった。しかし導入後は、1台で作業ができるようになり、効率性がアップ。この機械だけで解体できる建物は非常に多いという。
百貨店跡地は井上工業の持株会社が購入し、商業施設などを建設する。今後は、このように解体後の開発までを含めた事業も増やしていく予定だ。SK1300DLCは、そんな同社の果敢な姿勢を切り拓く象徴となるだろう。

解体機のオペレータ歴10年の後藤義治さん。「この機械はオペレータがこうだったら良いのに、と感じてきた細かい理想を実現してくれました」
高所を長く目視して作業することが多いオペレータの負担を軽減するチルト機能。キャブを傾けることで、背中と首への負担を軽減して作業ができるようになった。また後藤さんは、キャブの天窓のワイパーの間欠モードも評価。「小雨の時などは、ワイパーは連続作動せず、間欠的に動くだけで十分。そのほうが落ち着いて作業できます」
キャブの快適性がオペレータの疲れを半減させる。エアサスペンションは座り心地が良く、ヒーターもすぐに温まる。
ひじ掛けも小さな工夫だが効果的。「これがあるだけで操作する腕が安定して楽になります」(後藤さん)。また、キャブ内では解体機外部の4点のカメラ画像を見ることができる。大型機になるほど周辺の死角が多くなるため、安全面で役立っているという。

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Company data

井上工業株式会社

所在地
山形県山形市久保田2-1-47
TEL
023-645-8877
創業
1947年
事業内容
解体工事、産業廃棄物処理、再生骨材製造
従業員
57名

Link

文・織田信孝 撮影・岩井康浩