CASES導入事例

株式会社CBS

K-D2 PLANNER®でクレーン施工の検討時間が4割減
“ビジュアルで楽しい”ツールで働き方改革を

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株式会社CBSロビー

株式会社CBS 

代表取締役 神山正徳様

クレーンの仕様表を確認しながらの非効率なBIMを用いた検討作業

神山様のお仕事の内容について教えてください。

私は米国の大学で建築を学んだ後、いわゆる図面屋さんに入社し、2003年ごろにRevit 8.1を使い始めました。まだBIMという言葉も聞かない時代です。その後、2019年に知人に誘われて株式会社CBSに入社し、現在は同社の代表取締役とともに、グループ会社である株式会社シー・ラボの業務も兼任しています。

CBSグループ全体では約150人のスタッフがおり、うち120人はベトナムのオフィスで働いています。建築プロジェクトを中心に基本設計、実施設計から施工計画、施工図、そして竣工図まで、BIM関連の業務を、幅広く手掛けています。

K-D2 PLANNER®導入前の課題は何ですか?

私自身、スーパーゼネコンなどへの出向経験が何度かあり、株式会社シー・ラボではその経験を生かして、BIMでクレーン作業をシミュレーションして、施工ステップを検討する業務を行っています。以前はBIMソフトに付属している、標準的なクレーンのモデルを使った簡単なものでしたが、最近は実物のクレーンに基づいて作られた3Dモデルを使った精密な検討に変わってきています。

クレーンで柱や梁などの部材を吊り上げ、旋回して取り付け位置まで移動する間に、吊り上げ能力を超えないか、ブームやクレーン後部のカウンターウエイトが周囲の仮設材と干渉しないか、といったことを検討します。ご存じのようにクレーンの吊り上げ能力は、ブームの角度や長さが変わると変化します。以前は、クレーンのブームを動かすたびに、クレーンの仕様表とにらめっこで吊り上げ能力を確認する必要がありました。

干渉チェックなどはスピーディーに行える半面、荷重などのデータチェックは手作業で行うので、その都度、作業がストップしていました。吊り上げ能力が足りないと分かった時は、能力の大きなクレーンのモデルと入れ替えて同様の検討を繰り返す必要があり、BIMを使っているとはいえ、とても非効率でした。

神山正徳様

クレーン施工の検討時間が4割も減った

K-D2 PLANNER®の導入で仕事のスピードはどう変わりましたか。

Revit®のアドインツールとしてクレーン作業の検討が行えるK-D2 PLANNER®は当社の業務でもBIMによる生産性向上に役立つと考え、導入しました。

K-D2 PLANNER®の効果は絶大でした。まず、主な操作がアイコンでできるため、すぐに使い方をマスターして実務を行えます。日本語版のツールですが、ベトナム人も半日ほどで使えるようになりました。ツール導入の教育訓練の期間が圧倒的に短いのがいいですね。

もともとツールに付属している、コベルコ建機製のクレーンのモデルは、ブームの角度と吊り上げ能力の仕様データなどが内蔵されており、BIMモデル上でブームを伸ばしたり上下に傾けたりすると、吊り上げ能力の負荷率やクローラーの接地圧などのデータが自動的に計算されるのです。

以前のように仕様表とBIMモデルを見比べる必要がないので、作業はシームレスに進みます。おかげで、クレーンによる施工検討の時間は約4割も減りました。以前はクレーン作業検討の業務依頼を受けてから結果を納品するまで3日くらいかかっていたのが、今では1日で作業可能なプランを検討し、回答できるようになりました。お客様であるゼネコン様にも、手待ちのムダがないと喜んでいただいています。

例えば、当初、計画していた50t級の機種だと吊り上げ能力が少し足りない場合、よく使う90t級や120t級までクラスを上げて検討するのではなく、クレーンの機種変更もメニューから選ぶだけなので、まずは70t級の機種で検討することも容易です。検討時間があまりないときは、ついつい過剰な能力のクレーンを手配してコストが割高になることもありますが、K-D2 PLANNER®なら最適な能力の機種がすぐにわかるので、工事原価の低減にも役立っています。

施工検討の時間が3日から1日へ モデル作成作業自体が完全削除 施工検討4割減!2日分の業務を削減

ブームのたわみまで考慮した精密な干渉チェックもできる

お客様にはK-D2 PLANNER®で作成したどのような成果物を納品していますか。

お客様はRevit®ユーザーなので、それに合わせた3種類の成果品を納品しています。1つめは、Revit®のフェーズ機能を使って建て方ステップ図をPDF化したもの。2つめはそれらのBIMモデル。オートデスクのクラウドシステム「BIM360®」のユーザーには、クラウドサーバーにアップロードして納品します。ライセンスをお持ちでなければAutodesk Viewerなどで納品します。3つ目はNavisworsk®のタイムライナー機能で閲覧可能な施工ステップデータです。

これらの施工計画は、単なるアニメーション(絵)ではなく、クレーンの吊り上げ能力の数値データを根拠にして作成したものなので、信頼度が違いますね。基本的に納品はBIMデータなので、受け取ったお客様側でも引き継いで、施工計画のBIMモデルや図面などに利用していただいています。これはRevit®のアドインソフトならではのメリットと言えるでしょう。

このほか、ゼネコン様が作成した施工計画を当社で検証し、荷重オーバーとなる部分を指摘したり、改善案を作成して納品したりするチェック業務も行っています。

検討の質について、K-D2 PLANNER®導入で変わったことはありますか。

現場の敷地や周囲の建物などをBIMモデルで作り、その中でクレーン作業を3次元データに時間軸を加えた4Dシミュレーションで再現すると、それを見た職人さんから「安全通路にクレーン後部のカウンターウエイトがはみ出さないか」といった現場ならではの細かな問題点を指摘されることもあります。クレーンの位置や止め方などを施工計画段階で修正しておくことで、現場での事故や手戻りを「フロントローディング」で防ぐこともできます。

また、コベルコ建機製のクレーンの場合は、ブームのたわみを考慮した干渉チェックまで行える機能があります。ブームと足場が近くなりそうな場合は、「たわみを考慮する」のチェックボックスをクリックすることで、現場での思わぬ接触事故を防ぐことができます。

ビジュアル化で楽しく、楽になった施工検討業務

K-D2 PLANNER®を使ってみた感想はいかがですか。

これまでのクレーン施工検討業務は、表計算ソフトなどで施工ステップごとの吊り上げ荷重を計算するという「数字の羅列」によるものでしたが、K-D2 PLANNER®による検討はビジュアルに行えるので、とにかく楽しいです。現在、株式会社シー・ラボでは日本人2人のほか、ベトナム人も4人がこのツールを使っていますが、ビジュアルでの検討方法のため、業務の内容を短期間で理解してくれます。

コベルコ建機のサポート体制にも満足しています。メールや電話での問い合わせに、すぐ応じてくれるほか、弊社のオフィスに来て指導してくれます。もっとも、これまではツールの新機能開発についてのフィードバック的な相談も多かったので、これらがK-D2 PLANNER®のバージョンアップで反映されれば、問い合わせも少なくなりそうです。
K-D2 PLANNER®の導入によって、クレーン作業の検討業務が楽に、スピーディーにこなせるようになったので、売り上げが200%アップしました。現在は建築のお客様が中心ですが、今後はこのツールを活用して土木分野、機械設計分野にも事業展開したいと考えています。また、クレーン作業を発注されるゼネコン様や役所の方でもK-D2 PLANNER®を導入していただくと、受発注者間の相乗効果によって検討業務の生産性がますます向上し、2024年問題の解決や働き方改革の実現にもつながっていくと思います。

コベルコ建機に対するご要望についてはいかがですか。

K-D2 PLANNER®への今後の期待として、検討した情報を図面や資料に転記できる機能、クレーンの最大・最小作業半径を円柱に加えドーム型で表現できること、更にはVRで動線や荷重情報を利用したリアルなシミュレーションができると良いです。また、現場ではICT建機と連携して危険察知や回避ができるなど、今後は簡単で正確な施工のデータベースとして活躍するツールに手戻りの原因をフロントローディングで成長して欲しいですね。

神山正徳様
社名
株式会社CBS 
事業内容
BIMによる建設、機械の設計とICT支援業務 ほか
URL
https://www.kk-cbs.co.jp/

※Revit、Navisworksは米国 Autodesk Inc.の米国及びその他の国における登録商標です。