株式会社井中組
ICT施工の導入は
人材不足の壁も打ち破る!
鳥取県倉吉市を拠点に、土木工事などの建設業を展開する株式会社井中組。地域密着企業として、そこに住む人々に安心・安全を提供し続けるべく、常に新しい技術の習得に余念がない。近年では、ICT施工にいち早くチャレンジ。現場の生産性を高めるとともに、採用分野でも大きな成果を上げるなど、持続可能な成長への確かな一歩を踏み出している。
鳥取県倉吉市を拠点に、土木工事などの建設業を展開する株式会社井中組。地域密着企業として、そこに住む人々に安心・安全を提供し続けるべく、常に新しい技術の習得に余念がない。近年では、ICT施工にいち早くチャレンジ。現場の生産性を高めるとともに、採用分野でも大きな成果を上げるなど、持続可能な成長への確かな一歩を踏み出している。
大好きなコベルコ建機にはICT施工の分野でNo.1になってほしい!
代表取締役 井中紳二さん
なんでもやってみよう精神でICT施工にも挑戦
現場で行われていた盛り土作業での誤差は、平均わずか8mm程度。コベルコ建機のマシンコントロール搭載機なら、より正確な施工が可能になる
株式会社井中組の創業は1927年。数年後には100年企業となる老舗の建設業者だ。3代目となる代表取締役の井中紳二さんは、井中組を引き継ぐため、30年ほど前に同業他社から転職して入社。社長就任後は、決算書の数字の読み方から学び始めたと謙遜する。
それが今では、入社当時と比較して売上額を6倍にまで増やしているというから驚く。ここまでの成長を遂げた秘訣は、“リスクを恐れずに何事にも積極的に挑戦すること”だという。
「とりあえずやってみなくては、その良し悪しは分からないですから」と井中さん。失敗もたくさんしてきたと語るものの、その信条が現在の井中組の発展につながっているということは間違いない。例えば、 道路工事業への参入もその1つだ。当時の井中組は砂防工事や河川工事が仕事の中心。道路工事の実績はほとんどなかったが、山陰道における高架橋の下部工事を受注した。約20年前のこの挑戦が、井中組の技術レベルの向上に大いに役立った。現在、同社は国土交通省から工事成績優秀企業認定をほぼ毎年受けるほどの高い施工技術を誇っている。
また、ICT建機の導入も井中さんが成功させた挑戦の1つだ。
「国土交通省が2018年に発表した“i-Construction推進に向けたロードマップ”を見て、我が社でも導入したいと現場の責任者に相談したところ、“井中組は地域No.1の業者を目指す”という意識があったのでしょう、みんなが賛成してくれました」
現在、コベルコ建機製を11台、他メーカも含めると計18台のICT建機を所有している。
「ICT施工は入札でも有利になりますし、作業効率が上がったことで生産性の向上にも役立ち、通常の施工に比べて利益率も高いです」
いち早くICT建機の導入に踏み切ったことで、同社は今、先行者利益をしっかり享受している。
取材した現場では、コベルコ建機が国内の販売・サービスを手がけるボーマク社の転圧機械もICT化して稼働していた
コベルコ建機のICT建機は現在3台が稼働中
作業の生産性向上から人材不足の解決にも貢献
取材当日、井中組の所有するコベルコ建機のICT建機は、山陰道の延伸工事に従事していた。搭乗するのは、オペレータ歴十数年の片山哲也さんと、同28年になる杉谷修さんだ。
片山さんはコベルコ建機のICT建機について、その精度の高さに驚かされたと話す。
「コベルコ建機のマシンコントロール搭載機による作業で、1cm以上の誤差が生じたことは今まで一度もありません。キャリブレーションについても、その精度は調整の必要がほぼないほど。基準点に刃先を持っていくだけで簡単に測定可能です」
一方の杉谷さんは、マシンコントロール搭載機が実現する省力化のメリットを高く評価する。
「丁張りの必要がなく、施工中に検測する手間も省けるので、より早く施工を完了することが可能になります。さらに、手元作業員を減らせる分、必要以上に気を遣って操作することなく現場の安全性を確保できるのもありがたいですね」
こうした井中組におけるICT化の推進は、建機だけにとどまらない。ドローンを飛ばして現場を撮影し、それをもとに3次元設計データを自社で作成するというICT施工の根幹から携わる。
しかも、そのための専門チームのメンバー5人は、いずれも新規採用の女性だという。
「専門チームに所属するメンバーは他分野からの転職組で、この業界は初めての人ばかり。そのため、まずは業界用語を覚えることから始めたのですが、元々内勤という条件で入社した彼女たちがキャリアアップを目指したいと自ら現場にも出るようになり、今では現場監督を務める者もいるほどです」(井中さん)
働く人の高齢化が進む業界のなかで、彼女たちは井中組にとってまさに希望の星と呼べる存在だ。
コベルコ建機のICT建機の導入が生産性の向上とともに、若い人の関心をひき、社員の高齢化や人手不足の解消にも役立つという好影響を及ぼし始めている。
ICT建機のオペレータ、片山哲也さん(左)と杉谷修さん。慣れてしまうと、それ以外の重機にはもう戻れなくなるという
現場監督の下山博さんとともに測量作業に従事する井本彩紀さん。井本さんは歯科技工士からの転職組だ
3次元設計データを作成する専門チームの田中美香さん。印刷会社のイラストレーターから転職して同チームの一員に
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