
株式会社山﨑組
先進テクノロジーを導入し
企業としての魅力を高める
島根県大田市を拠点に、土木建設や建物解体、産業廃棄物の中間処理などを展開する株式会社山﨑組。2021年に創業100周年を迎えた同社では、企業価値を高めるべく、これまでの長い歴史のなかで常に新たなことへの挑戦を続けてきた。昨年8月には重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」を導入。次の100年に向けた歩みをすでに始めている。
島根県大田市を拠点に、土木建設や建物解体、産業廃棄物の中間処理などを展開する株式会社山﨑組。2021年に創業100周年を迎えた同社では、企業価値を高めるべく、これまでの長い歴史のなかで常に新たなことへの挑戦を続けてきた。昨年8月には重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」を導入。次の100年に向けた歩みをすでに始めている。
自分自身が働きたいと思える会社にするのが目標です。
代表取締役 山﨑宏隆さん
企業価値を高めるべく、重機の遠隔操作システムを導入

機体とヤード内に設置されたカメラの映像を見ながら重機を操作。音はもちろん、モーションシートは振動もフィードバックしてくれるので、現場をリアルに感じながら作業を行うことが可能だ
土木建設業から始まり、建物解体、産業廃棄物処理業への進出で発展を遂げ、これからはアスベスト分析事業への取り組みなどでさらなる飛躍を目指す株式会社山﨑組は、2021年に創業100周年を迎えた。これほど長く事業を継続できている背景には、同社が常に新たな挑戦をすることで企業としての価値を高め続けてきたことがあるといえるだろう。
例えば、近年には土木分野でコベルコのICT建機を積極的に導入。生産性や安全性の向上を実現することで、かつては労働条件が厳しいことを意味する3K職種といわれた仕事を「給与、休暇、希望」という新たな3Kへと改革する取り組みを開始している。
そして、次なる一手として山﨑組の選んだ取り組みが、重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」導入だった。この先進テクノロジーを導入した理由について、代表取締役の山﨑宏隆さんはこう語る。
「大田市を拠点とする当社は、松江市などの県庁所在地にある同業他社と比べて知名度がどうしても低いという課題があります。そこで、いち早くK-DIVE®を導入することで、当社の名刺代わりにしたいと考えました」
前述したICT建機の導入などを通じて企業価値を高めることに注力してきた山﨑組では、効率化によって得た利益を社員にきちんと還元することで、これまでも多くの若い従業員を獲得してきた。
山﨑さんはそうした求人戦略をさらに加速させる切り札としてK-DIVE®の導入に踏み切り、リクルートに対する好影響を生み出そうと考えたのだ。
「リクルートに加えてのメリットとしては、国や県、市といったクライアントに対する営業ツールとしての活用です。遠隔操作システムという革新的な技術を使いこなしている先進企業というイメージをアピールできると考えました」
実際、K-DIVE®導入に対する効果は絶大で、今年度のリクルートに関しては高校生の新卒応募数が大幅に増加。中途でも大卒の応募数が急激に増えてきたという。また女性の応募が増えたことが特徴的だ。一方、遠隔操作システムは安全面や多様な人材活用に効果的と行政側の関心も高く、多くの関係者が同社へと見学に訪れている。


コックピットからK-DIVE®搭載機を遠隔操作する井口珠希さん。「屋内に設置されたコックピットからの遠隔操作は、女性が重機に乗るハードルを大幅に下げてくれます」
「K-DIVE®」のオペレータに操作経験のない女性を登用
現在、K-DIVE®搭載機は事務所に隣接する再生砕石のプラントで稼働中だが、そのライブ映像を高校で開催される就職ガイダンスや、道路建設の開通式イベントなどで流すことにより大きな評判を呼んでいる。
現場近くに立つ事務所でK-DIVE®搭載機を遠隔操作しているのは、一般事務の仕事との兼業オペレータ、井口珠希さんだ。驚くべきことに、井口さんはリアルでの重機操作の経験がほとんどなく、K-DIVE®をメインに作業を行うK-DIVER®という新たな存在。
「一般事務で入社したのですが、昔から重機が好きで。K-DIVE®を導入するという話を社長から聞いて、やってみたいと私から立候補させていただきました」
当初は、1週間に2日程度、午前中をK-DIVE®搭載機での作業に充て、午後に事務の仕事をするというスケジュールを組んで練習したそう。
「解体現場から運ばれてきたコンクリートガラなどをクラッシャーに投入するのですが、初めのうちは高さと奥行き感がつかめず、バケットを目標物に合わせるのが難しかったですね。でも、カメラの使い分けが身につき、目線が安定することで、2〜3週間後にはその課題も克服することができました」
思いのほか少ない練習期間で、一人でも作業を行えるようになったと話す井口さん。
「K-DIVE®なら、コックピットのすぐ横にベテランのオペレータが立ち、リアルタイムでアドバイスしてもらうことが可能です。直接教えてもらえる分、助言も分かりやすいので、初心者への指導用にもK-DIVE®はとても有効ではないでしょうか」
K-DIVE®の導入により、女性活躍の可能性を拓いた山﨑組。今後、さらに多様な人材活用ができるソリューションとして、将来的には土木分野での稼働も見据えている。新しいことに挑戦し、企業価値を高める同社の取り組みに終わりはない。


屋内のコックピットと屋外の重機、カメラなどをミリ波通信で接続。常時最新の状況を送受信することで遠隔操作を支える

遠隔操作で稼働する20tクラスのコベルコ機。スムーズに動くその姿に、同現場への訪問者には、今でも驚かれることがあるという


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