コベルコ建設機械ニュース

Vol.262Nov.2023

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90余年に及ぶ老舗の挑戦
対応力を磨いて未来を拓く

株式会社永井組は2023年、創業93年を迎える老舗の基礎工事業者。同社の強みは、基礎工事の一連の作業を自社単独で手がけることができる幅広い対応力だ。
その特色にさらなる磨きをかけるべく、2022年にはコベルコ建機のTK550GSBを導入。街中での低空頭条件や狭隘エリアでの現場作業に効果を上げている。

株式会社永井組は2023年、創業93年を迎える老舗の基礎工事業者。同社の強みは、基礎工事の一連の作業を自社単独で手がけることができる幅広い対応力だ。その特色にさらなる磨きをかけるべく、2022年にはコベルコ建機のTK550GSBを導入。街中での低空頭条件や狭隘エリアでの現場作業に効果を上げている。

当社なら基礎工事における一連の作業がトータルで対応可能です

代表取締役 永井邦雄さん

多様な基礎工事を自社で完結できる対応力を磨く

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ハンマーグラブを用いて障害物撤去に当たるTK550GSB。高さ6mまでの低空頭条件でもショートブームなら作業可能だ

株式会社永井組の創業は、戦前の1930年。現社長の永井邦雄さんのおじい様が興したとびの請負や重量物の運搬、人力による杭打ちなどの事業を始まりとしている。

戦後の高度経済成長期になると、杭打ち工事用の重機および船舶を保有し、70年代初めにはコベルコ建機のクローラクレーンも導入。時代とともにこうした機械化を推進しながら、大規模工事での杭打ち作業などで活躍してきた。

そして現在、永井組は杭打ちから障害物撤去、山留め、地盤調査など、多様な基礎工事を自社で完結できる対応力をストロングポイントとして事業を展開している。同社のそうした特色は、自然にでき上がったわけではなく、意識的につくり上げてきたものだと永井さんは言う。

「地方では、大都市の業者さんのように単一の仕事のみでは十分な利益が上げられません。そのため、私たちのように地方を拠点とする基礎業者は、1つの工事に対して“障害物も撤去します、杭も打てます、そのあとで地下を掘削するための土留工事も行えます”というように、さまざまな工事を想定して設備を用意することが重要になります」

永井組における事業戦略のキーワードである対応力。2022年、その向上のための新たな取り組みとして、ショートブーム仕様のコベルコ建機製テレスコピッククローラクレーン、TK550GSBを導入した。それにより、低空頭条件や狭隘エリアであっても、短尺のハンマーグラブを用いて、障害物の撤去や場所打ち杭または鋼管杭の施工が可能となり、同社の対応力をさらに高めることになった。

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ヤードで次の現場への出番を待つTK550GSB

上空制限のある現場作業をショートブーム仕様機で実現

現在、TK550GSBは超低空頭・軽量タイプの全旋回機(日本車両製のRT-120SL)とペアで現場に投入され、低空頭条件や狭隘エリアの現場で稼働中だ。例えば高松駅舎の増築工事では、オールケーシングによる障害物撤去、鋼管杭の打ち込み作業に、全旋回機の相判機として用いられた。

「現場は駅から連なる屋根が上空を覆っているため、ノーマルのテレスコピッククローラクレーンではブームを立てることができなかったのですが、ショートブーム仕様のTK550GSBなら問題なし。オペレータからは、屋根を気にすることなくハンマーグラブや鋼管杭の吊り下げ作業を行えたと聞いています」(永井さん)

TK550GSBのオペレータを務める長門達朗さんによれば、全旋回機を運搬する際の吊り上げ能力も十分だという。操作性に関しては、すでに永井組が所有しているほかのコベルコ建機のクレーン同様、癖の無い動きを高く評価してくれた。

「旋回時におけるスムーズさはコベルコ建機ならではですし、ブームの起伏もスピーディ。さらに、複合操作時の機体の動きもなめらかです。また、レバーの配置が考えられているので、ある操作をする際に腕がクロスしてしまうといった、不自然な動きを搭乗者に強いることがない点もいいですね」

そしてもう1点、運搬や組立・分解時のメリットについても長門さんは語ってくれた。

「運搬時にトレーラーからブームがはみ出すことがなく、現場への搬入が容易に行えます。組立・分解時にはウエイトの組みばらしが2時間もあれば自力で可能ですし、安全装置が付いているので脱着作業も安心して行えます」

土木にしても建築にしても、今後は現場スペースに制限のある街中での改修工事が主流になるはず。永井組に新たな現場環境への対応力をもたらしたショートブーム仕様機TK550GSBが、同社のさらなる成長を牽引する切り札になるはずだ

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TK550GSBのオペレータ、長門達朗さん。「コベルコ建機製クレーンの癖の無い操作感は、TK550GSBでも健在です。免許を取って日が浅い初心者にも乗りやすいのではないでしょうか」

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写真は、超低空頭・軽量タイプの全旋回機、RT-120SL。本機とTK550GSBとがペアを組めば、現場スペースに制限のある街中での基礎工事も可能になる

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分解時に取り外したリンクなどの紛失を防止すべく、各所に専用の収納スペースを確保

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サードフックの取り付け・取り外しは、サードドラムが本体前方にありサードワイヤロープをブーム下面に通すことができるため、ブーム上を歩かず地上から安全に作業できる

今回の訪問先は矢印

株式会社永井組
本社所在地/香川県高松市林町351番地23
tel 087-865-8658
https://kk-nagaigumi.co.jp/
山田高弘= 取材・文 三浦泰章= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Yasuaki Miura