2017年、機械後方エリアで人や障害物を検知すると、自動で機械を止めるという安全ファーストの機能で、建機業界やユーザに強いインパクトを与えた衝突軽減システム「K-EYE PRO」。開発のきっかけとなったのは、国土交通省が推進するi-Constructionの取り組み。その過程で、ICT を活用して現場の死亡事故を減らすという方針が打ち出されたことから、コベルコ建機ではK-EYE PROの開発に着手した。
その開発を指揮したのが、ショベル開発グループの越智智彦だ。
- 越智:
- 当時は、安全のためとはいえ本当に機械を止めていいのか、ショベルに必要な装置なのかという議論が社内でもありましたが、衝突軽減システムはすでに自動車には搭載されていましたし、何事も先駆けて取り組むのがコベルコ建機らしさだろうということで開発を進めていました
越智たち開発陣の努力が実り上市されたK-EYE PRO。ユーザからの評価はどうだったのだろう。
- 越智:
- 機能としては画期的だったのですが、機械を停止させるというところに意識を向けすぎたため、お客様の現場で本当に受け入れられるかという点にまで目が行き届かなかったのかもしれません。現場の資材や草木などにも反応して機械が止まってしまうというケースもあったようで、評価いただけなかったお客様もいらっしゃいました
厳しい現実に直面したK-EYE PROだが業界への影響は絶大で、その後に競合メーカから衝突軽減システムが続々と発売されることになる。
現行のK-EYE PROの
検知・制動イメージ