022年度の下期、コベルコ建機はドローンを活用してクレーンを点検するというテーマに取り組み始める。その背景にあったのが、長年課題とされてきたクレーンの点検業務の難しさだ。開発プロジェクトのメンバーの一人、クレーン商品企画グループの橋本奨はこう語る。
- 橋本:
- クローラクレーンは、ブームを立ち上げるとその長さは傾斜仕様でも60m、タワー仕様ともなると100m近い高さになるため、通常は地上面にブームを伏せて点検が行われます。現場に長期にわたって投入されることが多いクローラクレーンでは、工事期間中に点検が必要なことも少なからずあり、ブームを倒すスペースのない狭小地の現場では地上面から双眼鏡で確認をするという手法が一般的でした。しかし双眼鏡を使っての点検では、一方向からの視界となり、見えない部分が非常に多い。ドローンを活用すれば、そうした課題を解決できるのではないか、との想いから開発に着手しました
近年ドローンの分野も、ハードウエア面での進歩が著しい上に、コストもそれなりに下がったことがドローン点検の開発を後押しすることにもつながった。

ドローンによるクレーン
点検の基本的な流れ
確認したい箇所を撮影するための自動飛行ルートを作成。事前に3Dシミュレーション上で撮影画像を確認できるため、カメラの向きや画角など最適な撮影方法を選定できる。