コベルコ建設機械ニュース

Vol.257Aug.2022

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丁寧な仕事が評価され
ニッチな市場で着実に成長

沖縄県の石垣島を拠点に、注文住宅の建築事業を展開する髙英工務店。
地元出身の有名人の家屋も建築するなど、
起業して6年ながらもたしかな実績を積み上げ続けている。

沖縄県の石垣島を拠点に、注文住宅の建築事業を展開する髙英工務店。地元出身の有名人の家屋も建築するなど、起業して6年ながらもたしかな実績を積み上げ続けている。

さらなる成長に向け、今後は住宅建築をベースに公共工事への参入も考えています

代表者 髙屋英世さん

競合他社の少ない住宅建築の分野で起業

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3.5tクラスでは全国初の導入となった髙英工務店のチルトローテータ搭載機。バケットを360度回転できる上、チルト角度を施工面に合わせられるため、整地や掘削作業などの効率が飛躍的に向上する

地元石垣島の島民はもちろん、県外からの移住者向けに注文住宅を建築している髙英工務店。石垣島の老舗建設会社で現場監督の仕事をしていた髙屋英世さんが、髙英工務店を起ち上げたのは今から6年前になる。2013年に新石垣空港が完成し、ホテル建設などの大型工事の着工が決まったことで、今後は個人の住宅建築を手がける業者が不足するだろうと見込んだ髙屋さんは、自ら注文住宅の建築を請け負うべく独立を決意したという。そうした業界の状況をビジネスチャンスと捉えた髙屋さんの目論見はずばり的中し、起業当初から仕事は引く手あまただったそう。以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で工事が一時中断した時期を除けば、現在まで発注が途切れたことはないというから驚きだ。

「それは競争相手の少ないニッチな分野で事業を展開できたことに加え、一軒一軒常に丁寧な工事を心がけてきたためだと思います。私たちが手がけるのは画一的な建売住宅ではなく、施主さんの想いをカタチにする注文住宅。それだけに、決していい加減な仕事はできないという強い気持ちで工事に取り組んでいます」と髙屋さんは順調な事業展開の秘訣を語る。

竣工式で施主さんの満足げな笑顔が見たいと話す髙屋さん。その一心から、時には採算を度外視しても質の高い工事にこだわっているという。そうしたお客様ファーストの仕事ぶりが施主から高く評価され、次の仕事につながっている。実際、SNSで住宅建築の様子を写真で発信したところ、「基礎の掘削などの仕事が丁寧なのでぜひとも依頼したい」という県外のお客様からの案件をすでに2件受注。「そばにいなくても安心して工事を任せられる」との言葉をいただいたというエピソードからも、その優れた仕事ぶりがうかがえる。

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髙英工務店のスタッフは、代表の髙屋さんを含めて2人。オペレータの佐倉弘樹さんは、髙屋さんの右腕的存在だ。「チルトローテータ搭載機に乗り始めてまだ1カ月程度ですが、乗るほどにその動作に慣れています。今後は仕事の範囲が格段に広がるはずです」

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バケットのチルトと回転は、コントロールレバーで操作。「余計な力を使うことなく、親指でスムーズに操作可能です」(佐倉さん)

チルトローテータ搭載機で基礎工事を効率化

髙英工務店では今年2月、現場のさらなる効率化に向けてバケット部にチルトローテータを搭載したコベルコ建機製ショベル、SK35SRを新たに導入した。2年ほど前にYouTubeで発信されていた同業他社の稼働動画を見て、「これはすごい」と感動した髙屋さんは、それ以来いつか導入したいと考えていたという。

「施主であるお客様が依頼した設計士から、施工全般を請け負うというのが当社の仕事スタイルです。ただし、型枠や鉄筋、左官、内装などは信頼する協力業者に外注し、私たちが手がけるのは基礎工事の部分のみ。基礎工事の工程で品質をしっかりと保ちながら、いかに作業効率を高めるかが利益に直結するため、チルトローテータ搭載機を導入しました」

取材当日、チルトローテータを搭載したSK35SRは、海岸沿いにある住宅建築の現場で、外構工事のための掘削に使用されていた。

オペレーターの佐倉弘樹さんは、「チルトローテータ搭載機に乗ったのはこの現場が初めてで、まだいろいろと試している段階ですが、バケットを360度回転できる上にチルト動作も可能なため、作業スペースが狭い現場での基礎工事に最適だという印象です。具体的には、バケットの回転機能を活かせば、砕石の整地時に機械本体を動かす頻度が減り、倍のスピードで作業を完了できると思います。さらに、機体が傾いてしまうような足場でも、施工面に合わせてバケットの傾きを調節すれば、図面通りに掘削できそうです」と語る。

空港周辺のホテルの建設ラッシュは落ち着いたものの、現在は地元の建設会社の多くが国の案件にかかりきりのため、髙英工務店への住宅建築の依頼は相変わらず多い。しかし、今後もその状況が変わらない保証はないとの考えから、髙屋さんは公共工事への参入にも本腰を入れようとしている。

「公共工事を始めるからには、ICT施工の導入も重要になる」と語る髙屋さん。コベルコ建機は、これからも先進の重機で髙英工務店の次なる挑戦を支え続ける。

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バケットの回転とチルト機能を使えば、これまで人力で掘る必要があった穴の際まで掘削可能に。ほとんどの作業を機械のみで完結できるため、人件費の削減にもつながる

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石垣島の夏の暑さは強烈。キャブ仕様のため、エアコンをかけつつ快適な作業が可能に。草木を伐採する作業時には、蜂からオペレータを守る盾にもなる

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石垣島における注文住宅の需要は高く、髙英工務店だけでも年間5件以上を受注している

今回の訪問先は矢印

髙英工務店
本社所在地/沖縄県石垣市平得820-26
tel 0980-87-6353(代表)
山田高広= 取材・文 三浦泰章= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Yasuaki Miura