コベルコ建設機械ニュース

Vol.259Jan.2023

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ICT建機の積極活用で
高精度施工と省力化を実現

京都府北部を中心に、多数の工事実績を積み上げて急成長を遂げている岩鼻工業株式会社。同社では、地元河川の治水工事の受注を契機に、ICT施工を推進している。これにより工事の大幅な効率化と安全性が向上。さらには、社員の労働環境改善まで見据えているという。

京都府北部を中心に、多数の工事実績を積み上げて急成長を遂げている岩鼻工業株式会社。同社では、地元河川の治水工事の受注を契機に、ICT施工を推進している。これにより工事の大幅な効率化と安全性が向上。さらには、社員の労働環境改善まで見据えているという。

ICT建機はもちろん、ドローンやスキャナも活用し、土木現場の新しいカタチを追い求めていきたい

代表取締役 岩鼻秀樹さん

多様な現場に対応するため
コベルコ建機製重機を拡充

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西舞鶴道路の現場で切土作業に従事する3DMC搭載のSK75SR-7。現場の業務効率アップに貢献しており、「切土作業は3DMC非搭載機ではもうやりたくない」といったオペレータの声も

京都府北部エリアを中心に各種工事を手がける岩鼻工業株式会社の創業は2001年。代表取締役の岩鼻秀樹さんを含めた3名で立ち上げ、08年に京都府知事一般建設業許可も取得するなど、順調に実績を積み上げ、現在は社員14名を抱えるまでに成長している。事業内容は土木工事、とび・土工工事、石工事、舗装工事など多岐にわたるが、ここ数年は築堤工事が多いという。

「創業当時は道路工事がメインでしたが、10年ほど前に国土強靭化計画の一環として、由良川の治水工事が始まったのを機に、その築堤や浚渫工事をやらせてもらうようになりました。そこから国土交通省の仕事も増えていきましたね」(岩鼻さん)

創業からしばらくは自社で重機を所有しておらず、レンタル機材で対応していたが、事業拡大に伴い8年前にショベル購入を決意。その時に選んだのがコベルコ建機のSK200だった。

「他社製品とも徹底的に比較検討を重ねましたが、決め手となったのは燃費でした。いくら性能が良くても、燃費が悪ければ経営者として見過ごせません。その点、コベルコ建機のショベルの燃費性能は抜群です。他社製品は重掘削すると1日で200ℓほど燃料を消費するのに対し、コベルコ建機製は100ℓ程度。年間だと300~400万円もコストが変わってきます。足回りの可動性と安定性も高く、ハードな現場でもまったく問題ありません」

会社の成長に合わせるように重機も拡充され、現在同社では10台のショベルを所有。そのうち6台がコベルコ建機製だ。機械はすべて、地元の販売代理店である志摩機械株式会社から購入しているという。

「アフターサービスも申し分ないですね。特にICT建機を導入してからは、分からないことも多々ありますが、すぐに解決してくれるので非常に助かっています」

ICT施工を推し進め
社員の生活も向上させる

同社が初めてICT建機を導入したのは18年。ホルナビ+PLUS搭載のSK200-10を、京都北部エリアではいち早く現場に投入した。同機は、3次元設計データを搭載することにより、丁張り設置が必要最低限で済むのが最大の特徴。ワンレバー操作でブームの上げ下げ、バケットの排土を自動制御する3Dマシンコントロール(以下、3DMC)を搭載している。

「由良川の治水工事が始まった際、元請け業者からICT施工の要望があり、3Dマシンガイダンス搭載機をレンタルで使い始めたんです。あまりにも便利なので、いつかは自社で購入したいとずっと考えていたところ、さらに進化した3DMCが登場したという話を聞いて、思い切って購入を決意しました」(岩鼻さん)

以後、22年には、ともに3DMC搭載のSK75SR-7とSK135SR-7も導入。京都府や京都市もICT施工を推進していることもあり、あらゆる規模の現場に対応できる体制を整えた。

圧倒的な利便性と作業効率性は、現場のオペレータにも好評。取材時に西舞鶴道路の整備工事現場で、3DMC搭載のSK75SR-7を操作していた和泉翼さんも、3DMCの登場は画期的だったという。

「特に法面整形をする現場では威力を発揮します。丁張りがないので作業が楽ですし、何度も乗り降りして面を確認しなくていいので安全性も高いですね」

作業効率と安全性を向上させ、人件費も削減できるICT施工のスタンダード化の流れは今後も続くだろう。こうした時代を背景に、岩鼻さんはさらなるICT化も見据えている。

「測量分野も自社で対応できるよう、ドローンと3Dレーザースキャナはすでに購入しました。施工効率の向上は、社員のワークライフバランスの改善や、若くて優秀な人材の確保にもつながっていくでしょう。ただ、最後には人間が培った技術と発想がなければ工事は完結しません。先端技術に頼るだけではなく、オペレータの技術の継承にも力を入れていきたいですね」

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岩鼻工業創立メンバーの1人であるオペレータの和泉翼さん。「初めて3DMC搭載のショベルを操作した時の衝撃は忘れられません。まさに画期的でした」

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タッチパネル式のホルナビモニター。「操作がシンプルなので、すぐに慣れました」(和泉さん)

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圧倒的な汎用性を誇り、岩鼻さんが「もう1台購入するならこれだ」と評する3DMC搭載のSK135SR-7。取材時は西舞鶴道路の現場の盛土作業で活躍していた

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浚渫工事現場では3DMC搭載のSK200-10が活躍していた

今回の訪問先は矢印

岩鼻工業株式会社
本社所在地/京都府綾部市延町柳16
tel 0773-42-8600
中島 亮= 取材・文 三浦泰章、小林 修= 撮影 text by Ryo Nakajima/photographs by Yasuaki miura, Osamu Kobayashi