コベルコ建設機械ニュース

Vol.261Aug.2023

menu

建設機械とともに安全という
付加価値もレンタルする

今年で創業50年を迎える株式会社キングは、宮崎県宮崎市を拠点とし、主に油圧ショベルなどのレンタル事業を手がける企業だ。2023年、同社では最新の衝突軽減装置OmniEye®(オムニアイ)を導入。顧客の現場におけるリスク対策に効果を発揮する強力なアイテムを手に入れ、レンタル機器の安全性向上に大きな役割を果たそうとしている。

京都府北部を中心に、多数の工事実績を積み上げて急成長を遂げている岩鼻工業株式会社。同社では、地元河川の治水工事の受注を契機に、ICT施工を推進している。これにより工事の大幅な効率化と安全性が向上。さらには、社員の労働環境改善まで見据えているという。

「事故抑制」につながるOmniEye®のような商品を広めていくのは、当社の使命だと考えています

代表取締役社長 定満利博さん

安全という付加価値をレンタル業ではいち早く追求

photo 動画はこちら

OmniEye®を搭載したミニショベルSK45SR。
宮崎県を通る国道の拡幅工事に従事していた

株式会社キングは、宮崎県全域と九州各所に事業所を構え、各種レンタル、運輸、整備・修理、建機販売、道路切削・環境工事など、幅広い事業を展開。コア事業のレンタル業では、油圧ショベルや林業用機械、さらにAEDやパイプ椅子まで多種多様な商品を揃えている。
「当社のモットーは、お客様の望むサービスをワンストップで提供することです」と話すのは、代表取締役社長の定満利博さん。そのために重要視してきたのが、市場のニーズをいち早くつかみ、準備を怠らないことだ。

例えば、約650台のラインナップを誇る建設機械のレンタル業では、近年“人と機械の接触事故防止機能”に対する現場のニーズが急激に高まっているが、同社では以前より衝突を未然に防ぐためのシステムに着目。安全という付加価値を備えた道路機械や油圧ショベルを導入し、予想されるニーズに備えて準備を進めてきた。

「昨今、自動車では人との衝突事故を防止するための安全システムが義務化され、標準装備になってきています。建設機械でも近い将来、同様の制度が施行されるのは確実で、今後はレンタル用の機械にもそうしたシステムが求められるようになるはずです」(定満さん)

建設機械における安全性向上につながるシステムの導入に対し、積極的な姿勢を見せてきたキングだが、一方で以前からあるセンサー式の音で知らせるタイプについてはいささか懐疑的だったという。

「人以外にも反応して仕事が無駄にストップするため、現場ではスイッチを切って使われるケースもあると聞いていました。また、ヘルメットに装着したタグや安全ベストに反応するという装置も、それらを身に着けていないと作動しないため、人通りの多い街中での工事では現場の安全性という点で少々疑問をもっていました」(定満さん)

photo

機械に近づく人を単眼カメラ(半天球カメラ)で検知し、AIが人かモノかを判別する

photo

衝突の可能性が高いとシステムが判断したときに、光と音でオペレータに知らせる警告ランプ

photo

ドライブレコーダー機能を備えたコントロールボックス

機械の安全性に革新をもたらす「OmniEye®」を導入

さまざまなタイプの安全システムを取り扱いながらも、「これだ」というものに出合えていなかったと話す定満さん。そんな時、同社の顧客である株式会社ガイアートより、「万が一のときに機械が止まる安全装置の付いたミニショベルを導入したい」という商談がもち込まれた。

「同じ時期にコベルコ建機から、ミニショベル向け衝突軽減装置OmniEye®の紹介を受けたのです。このシステムにはAIが搭載されていて、機械の周囲で半径1.6m以内に人を検知すると機械自体をストップさせるという優れもの。まさにお客様の要望通りの安全システムでした。しかも、人以外のモノは検知しないとのことで、私が長年求めていたものに限りなく近い安全システムだと確信しました」(定満さん)

金額面についても、これまでのものと比べて安価だったことが導入の後押しとなり、購入を即決した。
現在OmniEye®を搭載したミニショベルは、ガイアートの手がける宮崎県西都土木事務所の発注による東臼杵郡椎葉村の国道388号線矢立工区の道路拡幅・舗装工事ですでに稼働を開始。

ガイアートのオペレータ、稲田英二さんは導入のメリットをこう話す。

「排土板で土砂を押したあと、本体をバックさせる際に人との接触事故が起こりやすい。その点、この装置なら機械の後ろに人が立つと自動で止まるので、安心感があります。人以外のものには反応しないため、仕事をたびたび止めずに済むのもありがたいですね」

アドオン装着で各種ミニショベルにも取り付け可能なOmniEye®は、レンタル会社にとってもメリットのあるシステムだ。オーダーの絶対数はまだ少ないが、すでに水道や電気、ガスといったインフラ工事の設備業者などから問い合わせがきている、と定満さん。他社に先駆けてレンタル業界におけるOmniEye®導入の先鞭をつけるべく、コベルコ建機との二人三脚で「今後も啓蒙活動を続けていく」と力強く語ってくれた。

photo

写真左から、ガイアートで現場代理人を務める小野梓さん、キングの齋籐孝輔さん、ガイアートのオペレータである稲田英二さん。「ほかの現場でもOmniEye®搭載機を導入済みです」と小野さん。齋籐さんは「これからも力を入れていく商品です」と話す

photo

キャブ内の液晶モニタには、単眼カメラの映像を鳥瞰で表示。機械の周囲を確認できる

photo

ガイアートのオペレータ、稲田英二さん。「道路工事ではバケットで届かない場所の作業があり、人の手が必要不可欠。多くの人が狭い場所で働いているような現場には、OmniEye®の安全機能が最適だと思います」

今回の訪問先は矢印

株式会社キング
本社所在地/宮崎県宮崎市本郷南方223-1
tel 0985-56-5352
山田高弘= 取材・文 三浦泰章= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Yasuaki Miura