実感する導入効果
- 重機計画の作業効率アップ
- 手戻り防止
- 重機計画作成スキル習得の時間短縮
- BIM推進の加速
物流事業と機工事業の2つを国内外で展開し、世界の産業を支え続ける山九株式会社。
K-D2 PLANNERⓇをいち早く導入いただいたのは、機工事業を担うプラント工事部だ。お客様のプラント工事の施工計画を立て、施工を請け負う。
同部でK-D2 PLANNERⓇを活用するメンバーにお話を伺った。

山九株式会社 E&M第1事業部
福岡県北九州市戸畑区中原先の浜46-51
https://www.sankyu.co.jp/
重機計画の効率アップ生産性向上に寄与
プラント工事部では、2年ほど前からBIMを導入し、プラント工事の効率化を推進している。その延長線上で重機計画が3Dで可能なツールを検討し、お客様のデータとも親和性が高いRevitⓇアドイン型シミュレーションソフトのK-D2 PLANNERⓇを導入したという。
「従来の重機計画は、分厚いクレーン性能表を確認したり、この姿勢で問題ないかを検証したり、かなり手間のかかる業務でした」と語るのは、工事計画グループの尾畑夢歩さん。BIMの知見を有する尾畑さんは、工事計画全般のBIM化を目指す上でK-D2 PLANNERⓇは欠かせないツールだと言う。
同グループの齊藤未来さんは、長きに渡り2Dの従来方法で重機計画書を作成してきたエキスパート。齊藤さんは2次元での作業の実際を次のように語る。
「このクレーンで大丈夫だと思って一度2Dで描いてみても、ブームが届かないとか、この角度では合わないとか……。では別の重機で検証となると、まずその重機のデータを集めるところから始めることになります。よって大規模な現場だと、何カ月もかかってもまだ検討の段階、などということもありました」
こうしたCADの図面をベースとした2Dによる重機計画では、さまざまな角度から絵を描き、何度も計算して最適な重機選定を行う。当然安全性が第一だから、膨大な時間をかけて行ってきた。それでも実際の現場で敷地内に入れなかったり、カウンターウェイトが建造物に当たったりしてしまうことが分かり、再検討を余儀なくされること、つまり手戻りが少なくなかったようだ。
「K-D2 PLANNERⓇを使用すれば3Dで検討できるので、手戻り防止になります。また手計算の時間が削減でき、どんな種類のどんな性能をもつクレーンが妥当なのかをシステムとして候補を挙げてくれるので、重機選定が大幅に楽になりました」と言うのは、西日本事業所のノア・ハズリさん。同事業所の栁武昊さんも「機種選定の作業効率はかなり上がりますし、選定した機種の位置を決めるだけで、旋回する作業範囲が3Dで分かりやすく可視化される点も便利だと思います」と言う。
さらに、3Dデータに加え各工程のステップを登録して時間軸を入れることが必要な局面でも、NavisworksⓇと連動して4D活用が可能なところも重宝しているそうだ。

クレーンを真横から見た角度で断面図の作成や作動範囲図の表示が可能
また細かな機能としては、フックの重量が反映されることもポイントだという。性能表ではフック込みの重さではないため、これまではつり具の重量も計算していたが、K-D2 PLANNERⓇなら一瞬で終わる。さらにコベルコ建機のクレーンであれば、ブームのたわみまで反映されるところも評価が高い。


コベルコ建機のクレーンであれば、つり荷量に応じた「たわみ」が表示可能
「私は熟練した先輩とチームを組んで教わりながら、それこそブームなどのつり具の重さや耐荷重量を導き出すノウハウを身につけました。計算に抵抗がなくなるまでに2〜3年、責任をもって計画書を提出できるまでには5〜6年かかりました」(齊藤さん)
「そういう意味では、経験のない若い技術者でもすぐに重機計画書の作成が可能になります」と言うのはグループマネージャーの泉貴之さん。また「クレーンの選定時間が劇的に削減されるので省人化にもつながりますし、うまく活用すればリスキリングだとか配置転換といった人事面での効果も期待できます」と続ける。
尾畑さんも「重機計画をK-D2 PLANNERⓇで始めた私は、時間をかけて学んできた方々に比べると苦労なく学習できてありがたいと感じます。従来は現場監督などが時間をかけて計画していたことまで私たちが代わりに請け負えるようになるため、社員の働きやすさにもつながっていくと思います」と副次的なメリットも強調する。
K-D2 PLANNERⓇの活用で目指すべき姿に近づく
必要な情報をインプットすれば、簡単な操作で3Dの回答が得られる。そのあまりの操作性の高さに、当初は「本当に信頼できるのか」という素朴な疑問も生んだようだ。
しかし、K-D2 PLANNERⓇは3Dで重機の姿勢が示されるだけではなく、例えば耐荷重量に対しても根拠となる数字が提示され判定される。できないことはシステム的にNG表示される。そこに信頼性があるのだという。
「従来の2Dで計画したものをあえてBIMで再度検証し、K-D2 PLANNERⓇからも同じ結果が出ることを確認し安心しました。そうした3Dの検証で、現場の敷地への配置が難しいことが判明して、再検討を行った事例もあります」と齊藤さん。
こうした再検討の場面でも、K-D2 PLANNERⓇを利用すれば時間はかからない。
「プラント工事部が目指す姿は、着工前に現場で起こり得る問題を洗い出し、後工程での修正や手戻りを減らしコストや時間を削減するという、計画初期段階での工程検証の徹底。K-D2 PLANNERⓇの導入で作業効率が上がり、目指す姿に近づけていると思います」と尾畑さん。
数々のメリットをもたらすK-D2 PLANNERⓇだが、解体機など使える機種が増えるとより使い勝手が良くなる、現場の敷地までのクレーンの軌跡も表現されるとありがたい、といった要望もいただいた。
「K-D2 PLANNERⓇを、まずは部内のスタンダードにして全社の機工部門に浸透させていくことを目指しています。まだご存知ないお客様が多いので、3Dでの施工計画への認識を変えていきたい。そうすればプラント業界にもK-D2 PLANNERⓇが広がっていくのではないでしょうか。コベルコ建機さんと一緒に進めていけたらうれしいですね」と泉さんは今後の抱負を語ってくれた。

左からグループマネージャーの泉貴之さん、齊藤さん、尾畑さん、ハズリさん、栁武さん