コベルコ建設機械ニュース

Vol.242Jul.2018

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コベルコ建機の稼働機管理システム活用事例

お客様の建機の状態を
いち早く把握し、
万全のサービス体制へ

建機から発信される稼働状況や位置情報などをインターネット経由で
リアルタイムに確認できる「MERiT(メリット)」。
この稼働機管理システムを最大限活用し、建機整備業の充実に
磨きをかけているコベルコ建機の販売代理店に、その実際を聞いた。

今回の訪問先は矢印

鹿島機械工業株式会社
佐賀県鹿島市大字常広139番地2 tel0954-63-3217

稼働時間を正確に把握し、部品の定期交換を確実に実施

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代表取締役社長
山口一志さん

佐賀県と長崎県を業務エリアに、自動車販売・整備を手がける鹿島機械工業株式会社の創業は、戦前の1943年にまでさかのぼる。60年代から自動車に加えて建設機械の取り扱いも開始すると、その後の87年にはコベルコ建機の販売代理店および指定サービス工場へ。現在までの30年以上にわたり、コベルコ建機と良好なパートナーシップを築いている。
 創業75周年を迎えた同社では、もう一度自らの原点に戻るという決意のもと、整備業のさらなる充実に着手。そのための業務ツールとして、より存在感を増しているのがコベルコ建機の稼働機管理システム「MERiT」だという。
「特に力を入れているのが、部品の定期交換を徹底することです」と話すのは、代表取締役社長の山口一志さん。同社では、お客様のMERiT搭載機192台分の稼働時間を毎月集計し、全営業所にメールで送信。そのデータをもとに、部品が定期交換の時期にある建機をサービスマンがチェックし、お客様にアナウンスすることで、確実な定期交換の実施につなげている。
「当初はMERiTのデータとともに定期交換をお勧めしても“まだいいよ”と納得してもらえなかったお客様もいらっしゃいました。しかし、部品の定期交換により安定稼働が続くという実績を積み重ねた結果、今ではほとんどのお客様が私たちのご提案通りに部品の定期交換に応じてくれるようになりました」
 MERiT活用の結果、鹿島機械工業側には確実な部品交換による売上アップの達成、お客様側には建機のトラブルを未然に防止できるというメリットが生まれ、両者ともにウィンウィンの関係が構築されている。
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エンドユーザの現場を訪問中の営業マン、福島茂史さん。「建機のバッテリが上がったことをMERiTで確認し、お客様に連絡したときには、どうして分かったのかとびっくりされていましたね。今では多くのオペレータの方々から、『定期的に交換すべきものはすべて知らせてくれるので、安心して仕事ができる』という評価をいただいています」

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MERiTのデータから常に部品の定期交換が行われているため、現場が突然止まることもなく工事が行われていた

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コベルコ建機の販売代理店として、ヤードにはたくさんのコベルコ機が居並ぶ壮観な風景が広がっていた 

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用水路の浚せつや木柵造りが行われていた取材現場には、鹿島機械工業が販売したMERiT搭載コベルコ機が10台余り活躍していた

もはやMERiTなくしてサービスの仕事は回らない

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左から、サービスフロント課長の松岡直樹さん、事務の眞崎奈緒美さん、常務取締役の岩永菊雄さん。MERiT搭載機192台分の稼働状況を毎月集計するのは、眞崎さんの役割だ。「慣れれば2時間程度で情報を集計して、各営業所へのメール送信まで行える」とのこと

「現場のサービスマンも、その効果を実感しています」と話すのは、建設機械部門を統括する常務取締役の岩永菊雄さんだ。現在、MERiT搭載機を含む約500台にのぼる建機のメンテナンスを15名という少数精鋭のサービスマンで行っており、それができるのはMERiTのおかげだという。
 実際のメンテナンス業務を担当する松岡直樹さんも、その意見に賛同する。
「MERiT活用以前は、直接現場に行くしか建機の状況を知る術がありませんでした。少人数では現場を回りきれないため、お客様から部品交換の連絡をいただくケースも多く、突発的な分、スケジュールを組み立てるのが難しいという面がありました。その点、MERiTを活用し始めてからは、機種ごとに部品の定期交換時期を事務所のパソコン上であらかじめ把握できるようになったので、お客様には訪問日の候補を示しつつ、当社主導でアポが取れます。少ない人数でも効率的に現場を回れるのでとても助かっています」
 また、MERiTで建機の位置情報を収集すれば地図上にマークされるため、河川工事など住所だけでは分かりづらい現場に向かう際も、自力で簡単にたどり着ける。以前のように、お客様に現場の近くまで迎えに来てもらうこともなくなったと、松岡さんはその利便性を強調する。
 稼働機管理をさらに進めたいと考える同社では、コベルコ建機独自の予防保全システム「KSCAN(ケースキャン)」にも注目している。現社長の山口さんはサービスマン出身。機械の状態をいち早く知ることをメンテナンスサービスの信条としていることから、センサで建機の状態を日々検知し、故障につながるような予兆までも知らせてくれる本システムには大きな可能性を感じているという。現在、KSCAN搭載機はまだ10台程度だが、数年後には同社のメンテナンスサービスの柱になっているかもしれない。
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サービスマンは、MERiTのデータを毎朝パソコン上でチェック。定期交換時期が近い機種があれば、その日の稼働時間確認も怠らない

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画面上では、機種ごとの稼働状況が一目瞭然。部品の定期交換時期を過ぎている機種は赤、迫っている機種は黄色のアラートが表示される

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サービスマンや営業マンのスマホや携帯には、オイル交換時期などの担当ユーザの建機に関する情報がメールで告知されるため、外回り中でも迅速な対応を可能にしている

山田高弘= 取材・文 関根則夫 = 撮影 text by Takahiro Yamada /photographs by Norio Sekine