クレーンと事業所を
オンラインでつなぎ
作業効率や安全性の
向上に貢献
今回の訪問先は
株式会社高脇基礎工事
埼玉県北本市深井4丁目188 048-541-2653
クレーンの効率的な運用に向けKCROSSの活用を開始手
代表取締役社長
門脇佳典さん
そんな高脇基礎工事の現場では常にコベルコ建機のクローラクレーンが活躍。現在も20数台を数えるすべてのクレーンをコベルコ製で揃え、2013年からは『KCROSS』の活用も開始したという。代表取締役社長の門脇佳典さんはその理由をこう語る。
「クレーンの稼働時間、つり作業回数、最大負荷率といった現場での稼働状況とクレーンの稼働位置が、遠隔地でも事務所のパソコン画面を通していつでも把握することができ、それらの情報をもとにより効率的なクレーン運用に役立てることができると考えました。5年にわたるデータの蓄積を通じて、KCROSSの効果は多方面で発揮されつつあります」
現在、門脇さんは大きなテーマとして技能承継のための人材確保と定着率のアップに取り組んでいる。従業員持株会制度を筆頭に、各種手当や研修に対する報奨金制度など社内の福利厚生の充実に注力。ベトナムからの技能研修生の受け入れや留学生の採用もその一環だという
現場の施工管理を担当する櫻井友悠さん。「適切なメンテナンス管理を可能にし、トラブルを未然に防ぐことにもつながるKCROSSは、現場の安全管理に責任を持つ私にとってとても頼りになります」
三品孝之さんはオペレータ歴21年。「クレーンの稼働状況をスタッフみんなで共有することは、作業の効率化や安全確保において大きな効果があると思います」
今回の現場ではマスターテック7055-3Fが投入され、バイブロとウォータージェット併用の、33枚の鋼矢板打ちを3日間で行うスピード施工だった
情報収集の省力化が積極的な
情報活用を促進
「重量物をつる機会が多い基礎土木の現場では、クレーンに対してどうしても大きな負荷がかかりがちです。KCROSSは稼働状況データの1つとして過負荷運転をリアルタイムで知らせてくれるので、オペレータに対する操作指導が迅速に行えるようになりました。さらに、過負荷運転が記録に残ることでオペレータ自身の安全意識も高まったと思います」
過負荷運転が頻繁に発生する場合、クレーンの能力と現場の作業内容がマッチしていないということが読み取れる。そこで、同社ではひとクラス上のクレーンに交換し、最適配車による作業効率の向上を実現している。
クレーンによっては稼働率が非常に高く、消耗の激しい機種も存在する。クレーンの管理・運用を統括する埼玉営業所の小鹿大介さんは、KCROSSでそうした機種をチェックし、通常よりも部品交換の時期を早めに設定。適切なメンテナンスで修理コストを削減するとともに、事故の防止や機械の資産価値をより長くキープすることにもつなげている。
「これまでもアワーメータで稼働時間を調べるなどはしていましたが、やはり時間と手間がかかることで活用まで手が回らない部分がありました。その点、KCROSSならリアルタイムで簡単に情報収集できるため、それらの情報を有効活用することが可能になったのは大きな収穫です」(小鹿さん)
現在、保有するコベルコ建機のクレーンのうち、KCROSS搭載機は12台。高脇基礎工事では毎年2~3台のペースで新機種への切り替えを行っているため、あと数年ですべての実機にKCROSSが搭載される予定。今後はオールKCROSS搭載機によるラインナップで、さらに有効なデータ活用への期待が高まっている。
KCROSSの運用に関わる技術部の冨永利博さん(右)と埼玉営業所の小鹿大介さん(左)
クレーンの稼働状況をパソコン上でリアルタイムに確認できるKCROSSは、稼働情報の活用促進を大きく前進させたという点で、2人の意見は一致している
山田高弘= 取材・文
関根則夫・三浦泰章 = 撮影
text by Takahiro Yamada /photographs by Norio Sekine,Yasuaki Miura