コベルコ建設機械ニュース

Vol.244May.2019

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作業効率の飛躍的な向上へ
キーワードは「人と同じことはしない」

災害復旧のための現場にて、土木業者に求められる能力は、なにより作業のスピードだ。
奈良県十津川村のインフラ整備に長年携わってきた光和建設株式会社では、
独自の発想による機械力の活用で現場作業の効率化を推進。
工期短縮に大きな成果を上げ続けている。

災害復旧のための現場にて、土木業者に求められる能力は、なにより作業のスピードだ。
奈良県十津川村のインフラ整備に長年携わってきた光和建設株式会社では、独自の発想による機械力の活用で現場作業の効率化を推進。
工期短縮に大きな成果を上げ続けている。

作業のさらなる効率化を目指し、
創業以来、人と違うことを考え、
実行することを突きつめてきました

代表取締役社長 栗原圭文さん

常識外れの大型重機で工期短縮を鮮やかに実現

 奈良県の最南端に位置し、日本一大きく広い村として知られる十津川村。光和建設株式会社は、この山深き大自然に囲まれた地を拠点に、『災害に強い村づくり』を目指して河川の護岸工事、道路整備などの公共工事を行っている。
 代表取締役の栗原圭文さんによると、十津川村は昔から台風による大雨で幾度となく流域に大水害をもたらしてきた熊野川の上流部にあり、2011年9月の台風12号においても、本地域で大規模な土砂災害が発生したという。
「災害復旧工事は、私たち光和建設にとって村のライフラインづくりとともに、とても大切な業務です。1日でも早い復旧にはやはりスピードが重要となるため、創業以来、作業の効率化にこだわってきました」と語る栗原さん。それを可能にしてきたのが、他社にはない大型重機の導入だ。災害復旧の工事では何万m3もの土を掘削しなければならない現場も多く、バケットによる一度の掘削量を増やせばそれだけ作業効率も高まり工期短縮につながる。そのため、光和建設では土木工事業者の中でも導入している会社は極めて珍しい85tクラスのコベルコ建機製大型ショベル「SK850」を2台も所有。パワフルな機械力を駆使した作業はまさに圧巻の一言で、20tクラスなら1週間かかる現場を、たった1日で完了したこともあるという。
 その上、大型重機による高い作業性は、昨今の土木業界で深刻化する人材不足に対しても有効な手段になる。20tクラスの重機が2台で行う仕事を、大型重機なら1台で遂行可能なため、必然的に現場へと投入するオペレータも1人で済ませることができるのだ。
「創意工夫で人がやらないことをやる」というのが栗原さんのモットー。まわりと同じことをしていては大きな成果は得られないという。土木工事の現場ではあまり見かけない大型重機の導入を決断したのもそうした信念があったからこそで、今や85tクラスをはじめとするコベルコ建機の大型重機は光和建設の仕事ぶりを語る上で欠かせない存在となっている。

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光和建設とコベルコ建機、両社のパートナーシップは長く、油谷重工時代にまでさかのぼる

新たな技術革新にもいち早く反応し、柔軟に取り込む

 人にはない発想でこれまでにあまり例がなかった大型重機を土木工事の現場に導入し、作業効率の飛躍的な向上を実現してきた栗原さん。昨年末、ショベル用の先端アタッチメントである「チルトローテータ」搭載のSK225SRを全国でいち早く導入したのも同様の狙いからだ。
「重機の展示会に行った際、台風被害などで一部分が崩れた河川堤防における法面を修繕するのに、この装備は使えるとピンときました」(栗原さん)
 これまでは、崩れた一部分のみを修繕する法面整形の作業では、ミニショベルの機動性を活かして小さなバケットで少しずつ修繕するしかなく、かなりの時間を必要としてきた。その点、チルトローテータ搭載機ならバケットの角度調整・回転機能を活用して、重機を移動させることなく崩れた場所をまんべんなく修繕できるので、より大きなサイズのバケットで効率的に素早く作業を完了できるようになる。
「通常のバケットより高価ではあるものの、工期が1カ月延びれば経費も1000万円増えるため、チルトローテータで作業効率が向上すれば投資分以上の回収が可能です」(栗原さん)
 ヤードでのテスト稼働の感触も上々で、あとは実践あるのみ。「間もなく始まる河川整備の現場への初投入が待ち遠しい」と、自身も重機のオペレータである栗原さん。また一つ、作業の効率アップを実現できる切り札が光和建設に加わろうとしている。
 大型機からチルトローテータ搭載機まで、光和建設では現場で高い生産性を発揮する重機を現在30数台所有しているが、そのすべてがコベルコ建機製だ。優れたパワーと耐久性、手厚いメンテナンスサービスなど、ショベルはコベルコ建機に限ると、栗原さんは絶大な信頼を寄せている。その高い評価に報いるべく、今後もコベルコ建機は光和建設における作業効率の向上を、あらゆる面からサポートし続けていく。

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「チルトローテータ」搭載のコベルコ機、SK225SR。本アタッチメントを使用すれば、機体を傾けることなくバケットを最適な角度にできる。そのため、車体が大きすぎて法面の修復作業には使いにくかった20tクラスの重機も今後は投入できるようになる

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「チルトローテータのレバー操作はとても簡単。オペレータなら、誰でもすぐに慣れて使えるようになるはず」と栗原さんは語る

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キャブ内にいながらバケットの脱着が可能。作業に合わせて素早くアタッチメントを交換できる

今回の訪問先は矢印

光和建設株式会社
奈良県吉野郡十津川村谷瀬4番地 tel 0746-68-0185
山田高弘= 取材・文 神保達也= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Tatsuya Jinbo