コベルコ建設機械ニュース

Vol.247Jan.2020

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特集日本のインフラ、令和の現実。
事例紹介 株式会社ミック

大型クレーンの特性を活かし、
より早く安全なインフラ工事を実践

株式会社ミックは、国内各地を拠点に数々の大規模なインフラ工事を手がけてきたクレーンの専門業者だ。
従業員とともに成長をとげた同社の勢いは創業60年を迎えた現在でもとどまることを知らず、日本全国のさまざまな建設現場で実績を積み重ねている。

今回の訪問先は矢印

株式会社ミック
愛知県名古屋市南区元塩町3-18 
tel052-614-3311

大規模インフラ工事で
数々の実績を積み重ねる

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代表取締役会長 大山永吉さん

1960年に現会長の大山永吉さんが、弱冠20歳で興した運送会社を起源とする株式会社ミックは、創業からほどなくしてクレーン業へと進出。創業60年を迎えた現在では、国内を代表するクレーン工事のスペシャリストとしての地位を確立している。その発展を支えてきたのが、同社が所有する国内最大級のクローラクレーンであるコベルコ建機のSL16000J-Hをはじめとした大型クレーンの数々だ。大山会長によると、パワーのある大型のクレーンでつり作業を行うことで、工期短縮のメリットがある。例えば3日かかる作業が1日で完了できたりするという。

「工期短縮によるコストの削減効果は計り知れず、これまで土木・建築、橋梁やプラントなどの大規模なインフラ工事の受注を実現してきました」(大山会長)

例えば、第二東名高速道路と東名高速道路とのジャンクション桁を架設した豊田ジャンクションEランプ架設工事、日本製鉄、神戸製鋼所の製鉄所内工事や各電力会社の工事、愛知県の碧へきなん南火力発電所のプラント内コンベア工事など、ミックの手がけたインフラ設備の現場は数多い。現在も大型クレーンを駆使して、同県の武たけとよ豊火力発電所の新設工事が進行中だ。

「コスト意識がより厳しくなったことで、大型クレーンに対するお客様からの需要はますます高まっています」(大山会長)

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現在進行中の愛知県・武豊火力発電所の新設工事にもミックのクレーンが活躍中。2022年に完成予定のこの現場の詳細はこちらのページにて紹介

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安全と信頼を武器に
次のステージへ

ミックでインフラ工事を含む工事部門を取り仕切っているのが、専務取締役の井口享一さんだ。

「公共性の高いインフラ設備の工事には、民間工事以上に世間からの注目が集まります。その分、現場では安全についていつも以上の配慮が必要となります。当社が誇る大型クレーンの存在は、リスクのある高所作業を省けるという点で、作業効率に限らず安全面でも大きなアドバンテージとなっています」(井口専務)

近年、インフラ工事はまったくの新規工事よりも、すでにある設備を改修する工事の案件数のほうが増加している。そうした需要の変化に伴い、課題となっているのが専門技術を習得した技能職人材の育成だ。

「高度経済成長の時代に大量に建設されたインフラ設備が築50年前後を迎えるいま、その多くが改修時期を迎えています。そうした改修工事では設計図面もないようなケースも多く、工事に取りかかる前に建築物を調査する必要が生じるなど、専門技術者はいくらいても足りないほど。人材不足のなか、将来的には外国人技術者の採用も含めて検討しなければならない問題だと考えています。ありがたいことに、当社には学ぶための現場はいくらでもありますから、技術者育成のポテンシャルは高いと自負しています」(井口専務)

進行中の武豊火力発電所の新設工事に加え、今後は風力・洋上風力の建設工事の引き合いもあるなど、インフラ工事における信頼性が高いミックへの依頼はますます増加傾向にある。「一番大事なのは、社員。社員があってこその会社だよ!」と熱く語る大山会長。その信念が高い施工品質を生み、令和時代においても変わらず評価、継承され続けていくはずだ。

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専務取締役 工事本部長 井口享一さん

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山梨県の不動沢川橋と佐賀県の六角川橋の工事の様子。ともに、コベルコの200tクラスのクローラクレーンが稼働。全国各地でインフラの施工が進んでいる

山田高弘= 取材・文 神保達也= 撮影(人物) text by Takahiro Yamada/photographs by Tatsuya Jinbo