コベルコ建設機械ニュース

Vol.253Aug.2021

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特集中小規模工事の可能性を探る

ミニショベルでも
3DMGを実現できる新商品

2021年6月からスタートした施工ソリューション部で現在注力しているのが
「地中探査とICT建機による新しい無電柱化工事」の施工方法だ。
このページでは、中小規模工事に最適な中小型ショベル用の
3Dマシンガイダンス(以下3DMG)システムを積極的に導入し、
施工効率化に貢献できるソリューションを提案する。

これに関して、施工ソリューション部の高木徳雄に話を聞いた。

CASE STUDY

中小規模工事の現場にもICT施工の恩恵を

ICT施工といえば、これまでは大規模工事に使われる20tクラスを中心に、13tクラス以上のショベルが主流であった。しかし、最近では無電柱化のような中小規模工事の現場で活躍する7t以下の中小型ショベルでも、効率化を図れるICT施工の需要が増加。既存技術の3DMGについてはTS(トータルステーション)等光波方式とGNSS方式があり、これらをうまく使い分ければ、より現場のニーズに合ったソリューションが提供可能となる。

前者のTS等光波方式3DMGシステムの最新モデルに、トプコン社製「杭ナビショベル」がある。これは従来の自動追尾TSを簡易・安価にしたLN150を使って、ショベル側にプリズムを設置し3DMGを実現したもので、GNSS電波が入りにくい都市部の工事に適したソリューションである。またGNSSに関しての知識が少なく、高度な技術として敬遠するお客様にとっては、すでに馴染みのある測量機器を使ったICT施工機となる。その技術と地中探査データを取り込み、3DMGとして、施工効率化が図れると期待を寄せている。

ICT施工の第一歩として導入できる「杭ナビショベル」は、3DMGまで対応

後者のGNSS方式3DMGシステムはこれまで7t以下の中小型ショベルに搭載することが難しかった。

「従来のシステムでは、ボディ後部にGNSSアンテナを2本、およそ1.5mから2m間隔で取り付ける必要がありました。機体の位置だけでなく、向いている方角についても正確な情報を得て精度を高めるためですが、機体が小さい小型ショベルでは、アンテナマストを設置するためのスペースが確保できませんでした」

ところが最近測器メーカ各社からは、キャビン上やキャノピ仕様の柱にアンテナを取り付けるなどフレキシブルな設置方法の提案もあり、中小型ショベルのGNSS方式3DMGが実現可能となってきている。もちろんガイダンス精度も担保され、さらにシステムの低価格化も進み、3DMGが中小型ショベルに搭載しやすい環境が整いつつある。

CASE STUDY

3Dバリアデータを使って3DMG施工検証を比較

ICT施工のルールづくりなどを行う一般社団法人日本建設機械施工協会の付属機関・施工技術総合研究所にて、GNSS版3DMGの地中探査連携検証を行った。その結果、配管の床掘り作業において標準ショベルで130分かかった作業に対して、3DMG搭載ショベルは45分と、約3分の1の時短効果を実現した。

「時間だけでなく作業の正確性でも大きな差がありました。一般ショベルでは、配管にバケットの接触による破損が見られましたが、3DMG搭載機では、掘削用バリアデータ通りに配管の15cm上で施工できており、破損箇所はゼロでした」

地中を「見える化」し安心施工することで、施工効率と安全性が格段に向上する。今後都市部の無電柱化や管路工事などで、ICT機器が搭載された中小型ショベルが稼働する現場を見る機会も多くなるだろう。