部品事業では、お客様が必要とする部品を適切なタイミング、そして適正価格で提供することが最も重要な使命です。この使命を遂行するために、コベルコ建機は高密度自動倉庫「AutoStore(オートストア)」を装備した東条パーツロジセンターをはじめ、全国に3つの物流拠点を設置しています。
これらの拠点を通じて、迅速かつ効率的な部品供給体制を確立。国内外を問わず、月間約25万個もの部品をスピーディーに出荷する能力を備え、お客様のビジネスを強力にサポートしています。
ただ、最近ではネット通販の影響もあり、お客様の物流に対する要求が高くなってきています。ネット通販では、翌日配送や注文時の配達時間指定のほか、注文後も発送時間や到着予定時間を知らせるメール連絡などのサービスも提供されています。
今後、コベルコ建機の部品事業でも、同様のサービスを提供しなければ、お客様が不便に感じるケースが多くなる可能性があります。B to Cの世界では、ワンクリックで注文が完了し、商品が届く専用アプリなども広く浸透しており、当社としてもITを活用したこのようなサービスを今後開発していく必要があると考えています。
また、価格競争力の高い海外メーカとの違いを打ち出していくことも重要です。私たちは製品単体だけではなく、製品のライフサイクル全体を考えて、お客様にとってより良いメリットを提供したいと思っています。
そこで重要になるのは、機械自体が高性能であることとともに、充実したサービスと迅速な部品供給による差別化です。お客様にとっては建設機械をより長く、より安定して稼働させることが最大のメリットになるので、私たちはこの分野での強化を図り、グローバル市場での優位性を確立することが重要だと考えています。
2024年4月に発足したアフターセールス本部は、こうしたコベルコ建機の新たな事業戦略の象徴です。従来、部品部門とサービス部門は別々に運営されていましたが、両部門の統合により、新たな可能性が開かれました。これまで部品在庫の計画は、出荷実績や新車の仕込み時期にもとづいて行われていました。しかしサービス部門と連携することにより、従来に比べてより効率的な整備提案やコスト削減が可能になります。
例えば20tクラスの機械が数千時間稼働したあとのメンテナンス需要を見越して、適切な部品在庫を準備し、アフターサービス用の部品を企画し価格交渉を行うなど戦略的な計画が立てられます。これはお客様にとっても必ずメリットがあるはずです。これらの取り組みはまだ始まったばかりですが、今後さらに拡大し、新たなビジネスモデルの開発につなげていくつもりです。