コベルコ建設機械ニュース

Vol.243Jan.2019

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成長の基盤は安全。
経営者と現場、
双方からの
事故防止対策とは?

クレーンを使用するすべての現場で最優先されるべきことは、言うまでもなく、
無事故で安全に作業を完遂することだ。
広島県を中心に建物解体や地中障害物撤去を手がける安建工業株式会社では、
経営者と現場スタッフのそれぞれが、安全性を高める取り組みに注力している。

クレーンを使用するすべての現場で最優先されるべきことは、言うまでもなく、無事故で安全に作業を完遂することだ。
広島県を中心に建物解体や地中障害物撤去を手がける安建工業株式会社では、経営者と現場スタッフのそれぞれが、安全性を高める取り組みに注力している。

“安全に工事を遂行するため、
機械のメンテナンスも費用面は
気にせずに徹底しています”

代表取締役 安井幸男さん

大型機を用いることでゆとりある
安全な作業を実現

広島県福山市を拠点に、建物解体業を営む安建工業株式会社では、地元の広島県や岡山県を中心に、公共事業から大手ゼネコンの民間工事まで幅広い業務を手がけている。約10年前からは、地中障害物の撤去事業にも参入。解体と基礎杭の引き抜きなどをともに行える業者は全国的にも珍しく、さらに解体後に発生した廃棄物のリサイクルも行うなど、総合解体企業と呼べる事業内容を実現している。
 解体時に使用する建機は、ブーム先端に圧砕機を装着したコベルコ製の解体機。これまで同社では、より大きなクラスの機械を現場に導入することにこだわってきた。代表取締役の安井幸男さんは、その理由をこう語る。
「大型の機械を使えば、パワーやブームの高さゆえに、作業のスピードアップが図れます。それにより、オペレータには作業面でも、精神面でもゆとりが芽生え、現場の安全性が格段に高まるのも大きな理由です。安全が確保できてこそ、現場スタッフも思う存分働けますし、生産性も上がるのではないでしょうか」
 こうした大型建機へのこだわりは杭抜き工事においても同様で、作業用のベースマシンとして100tクラスのクローラクレーンを導入するなど、安井社長は経営者として、ハード面から安全対策に万全を期している。
「解体機もクレーンも100tクラスを揃える企業は全国的にも少ないのではないでしょうか」と安井社長。現在所有する100台超のショベル、9台のクレーンはコベルコオンリーだが、それも安全性への配慮からだという。
「メーカによって操作感覚は少なからず違います。常に同じメーカの機械に乗っていれば、オペレータの操作技術も向上しやすく、事故につながるミスも減ると考えています」(安井社長)

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安井社長と現場スタッフの方々。安建工業には10代で入社し、ここで仕事を覚えて一人前になったスタッフも数多い。写真右から2番目は、安井社長のご次男で、現場の工事主任とBM1000Gのオペレータを兼任する安井克明さん

声かけから目視まで基本に忠実な
安全対策を徹底

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全周機を用いて地中障害物撤去作業に従事するBM1000G

安建工業では地中障害物撤去用の機械として、全周回転掘削機(以下、全周機)を導入。学校法人常翔学園広島国際大学呉キャンパスの校舎建て替え工事において、残置杭を撤去する現場に投入していた。
「この機械を使用する全周回転式オールケーシング工法では、より大型で地中深くにある杭抜きや、既存の工法では難しかった破損杭の撤去作業が容易に行えます」。こう語るのは、現場の工事主任を務める安井克明さんだ。本工法では、全周機で特殊な鋼管であるケーシングチューブを回転させながら地中へと圧入し、ハンマーグラブで鋼管内部の土を除去しつつ、地中の障害物を撤去する。そのハンマーグラブのつり下げに、コベルコ製の100tクラスのクローラクレーン、BM1000Gが活躍している。
 オペレータも兼任する安井さんいわく、「BM1000Gはつり能力が高く、重量級の全周機も安心して移動できる」という。ただ、全周回転式オールケーシング工法でのクレーン作業は、重量物をつる作業に限らず、ハンマーグラブの開閉など、両手両足を使っての複合操作が基本。従来以上に機械の周囲への配慮が重要になる。そのため、安井さんは無線を通じて頻繁に作業員と声をかけ合うなど、作業中の安全面には細心の注意を払っている。
「現場では声かけが一番の安全対策ですから、これをすべてのオペレータに徹底しています。人がいたら作業中でも必ずクレーンを止める、動かす前に周囲を見回すなど、慣れが原因で省略しがちになる基本動作についても、毎朝の朝礼で再確認しています」(安井さん)
 BM1000Gをもう1台導入予定という安建工業では、地中障害物撤去の事業をさらに発展させていく見通し。経営者と現場スタッフがそれぞれに持つ安全への高い意識は、同社が今後も継続して成長するための基盤となっている。

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BM1000Gは、旋回がスムーズでブームを止めたい位置にピタリと停止させやすいと、現場で高く評価されている

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安建工業では、高さのある建物でも地上から安全に解体できる、超大型建物解体機のSK1000DLCも保有

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新たに導入された「全周回転掘削機」。広島国際大学の呉キャンパスの現場では、解体済みの建造物の下、地中35~40mに埋まっている残置杭の撤去に活躍していた

今回の訪問先は矢印

安建工業株式会社
広島県福山市東川口町3丁目10-15 tel084-954-2446
山田高弘= 取材・文 三浦泰章= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Yasuaki Miura