建機作業の難易度を下げ、
誰もが働ける現場へと変革
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iDigのマシンガイダンス機能が
若者を土木業界へと呼び込む
代表取締役 川中裕史さん
北海道札幌市の土木業者、株式会社ヤマト建設は、都市における一般土木や災害復興などを主な業務としている。従業員は20名。少数精鋭の同社の現場では、現在あるイノベーションが進行中だ。その主役となっているのが、2019年3月に納車されたコベルコ建機の超小旋回機、SK50UR-6E。本機には、2Dマシンガイダンス「iDig」が搭載されている。
なにより手元作業員を必要としなくなったのが大きなメリットだと語るのは、代表取締役の川中裕史さんだ。「この人材不足のなか、作業員を確保するのは簡単ではありません。しかし、iDig搭載機なら指定した点を基準に、深さや勾配の数字をモニタに表示するため、例えば法面整形でもオペレータが1人で作業を行えます。しかも、掘削の勾配をモニタで指定できるので、これまでは2本張っていた水糸も1本で済むようになりました」
そしてもう1点、川中さんがiDig導入の効果として挙げるのが、現場での経験の浅いオペレータでも精度の高い仕事ができることだ。これまで、土木の重機オペレータの仕事は、勾配の法面を切るのに20年はかかるといわれるほど高度な技術が必要な世界だった。さらに、技術は見て覚えるという慣習もあり、一人前になるのに長い時間が必要だった。そのため、北海道全体でもオペレータが不足しているのが現状だ。
「とにかく人がいなくて、今や法面整形をしているのは60歳、70歳代のベテランばかり。このままでは、土木業界は衰退してしまうと以前から危惧していました。その点、ガイダンスに従いながら簡単に作業が行えるiDigがあれば、若者も採用しやすくなり、こうした状況を打破できるのではないかと期待しています」
iDigを搭載したコベルコの超小旋回機、SK50UR-6E。iDigとオフセットブームを併用することで塀際や土手の際などの掘削整形がより正確に行える
iDig搭載のコベルコ機で、歩道脇の法面を整形。掘削する深さと勾配の数値を入力することで、誰でも精度の高い作業が可能になる
iDigは法面整形に限らず、
掘削や整地作業にも活用可能
センサ間は無線通信式のため、ケーブルを気にすることなく作業に集中できる。さらに、マストも不要で狭所での作業性も確保している。車体各部にワンタッチで装着可能なセンサが付いており、車体の傾きとオフセットブーム角を検知。現場での取り付け、取り外しも簡単に行える
若い人が気軽に土木業界で働けるようにしたい。そんな川中さんの思いからヤマト建設に導入された2Dマシンガイダンス。実際、取材した同社の現場でiDig搭載のSK50UR-6Eを操っていたのは、川中さんのご子息である弱冠22歳の永一さんだった。
「本格的にオペレータとしての仕事を始めてまだ1年余りですが、モニタに深さや勾配の数字を設定すればバケットの角度と高さが表示され、数値が可視化されるので、自分のように経験の浅いオペレータでも難しい法面整形が容易に行えます。さらに、オペレータが出来形の確認のために1日何度もしていた乗り降りの手間も省け、作業スピードが大幅に向上しました。同じ作業なら、iDig搭載機は非搭載機の約半分の時間で完了できます」
では、数ある2Dマシンガイダンスのなかでも、なぜ「iDig」を選んだのか。「他社製の2Dマシンガイダンスに比べて、センサの取り付けやシステムの設定(キャリブレーション)が簡単で、導入しやすかったのです。実際の操作も、モニタ表示がシンプルなので分かりやすく、当社のオペレータは1日乗っただけで使いこなせるようになっていました」
iDig搭載機の導入後、ヤマト建設では月に1度、マシンガイダンスに関するスタッフミーティングを開催し、「こんな作業に活用できる」といった情報を共有。2Dマシンガイダンスというと、とかく法面整形にしか使えないと思っている人が多いが、それだけではないと川中さんは力説する。
「バケットと目標までの距離をリアルタイムでモニタに表示できるので、掘削でも整地でも土木のさまざまな作業にiDig搭載機は活用可能です。例えば、今までならオペレータが前屈みになり、感覚で行っていたすかし掘りも、iDig搭載機では数値を見ながらより正確に行うことができます」
今後は所有する建機すべてにiDig搭載を予定しているという川中さん。iDigを導入してわずか1年で現場を劇的に変えた優れた戦略眼で、3Dマシンガイダンスの将来的な導入も見据えている。
iDig搭載機のオペレータ、川中永一さん(写真中)。
「通常の建機と比べて、iDig搭載機は作業が本当に楽。ガイダンス機能のない建機作業はもう考えられません」