コベルコ建設機械ニュース

Vol.246Oct.2019

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有益な情報を見極めて採り入れ、
作業品質の向上につなげる

情報をいち早く収集し、それを業務に活かすことは、ビジネスの世界で欠かすことのできない重要なミッションだ。青森県八戸市の基礎工事業者、北城重機興業有限会社では、新技術や機械など、現場の作業品質向上を可能にする情報を積極的にキャッチすることに注力。業界の一歩先を読み、集めた情報を精査して経営戦略に役立てることで大きな成果を上げている。

情報をいち早く収集し、それを業務に活かすことは、ビジネスの世界で欠かすことのできない重要なミッションだ。青森県八戸市の基礎工事業者、北城重機興業有限会社では、新技術や機械など、現場の作業品質向上を可能にする情報を積極的にキャッチすることに注力。業界の一歩先を読み、集めた情報を精査して経営戦略に役立てることで大きな成果を上げている。

人と同じことをしていては
価格競争に巻き込まれる。
それを避けるためには
価値ある情報を見極めることが大切です。

代表取締役 北城 健さん

競合他社との情報共有で
ともに成長する関係へ

北城重機興業有限会社は、青森県八戸市を拠点に、東北6県におよぶ幅広いエリアで事業を展開している基礎工事業者だ。
同社の得意分野は河川の護岸工事などに使われるシートパイルの打ち込み作業。シートパイルとは細長い板状の杭で、代表取締役の北城健さんによると、その打ち込み位置にはミリ単位での正確性が求められるという。「シートパイルは両端に継ぎ手が付いていて、横に連続して何枚も打ち込むため、位置がわずか1mmずれただけでも最終的には大きな誤差が生じてしまいます」

そんな高度な作業をより精密に行うべく、同社では新工法などの技術をいち早く導入し、作業品質の向上に努めている。通常、公共工事の設計段階では従来工法が指定されることが多いが、より正確で効率的に作業できる新工法があれば積極的に提案するのが同社の基本姿勢。公共工事の発注者である役所向けに、新工法を採用することのメリットをアピールするプレゼン用の資料づくりにも余念がない。

「当社の強みは、従来の手法に固執しがちなクライアントに対し、より良い新工法への設計変更を促す提案力」と語る北城さん。それを支えるのが、同社ならではの情報収集力だ。
「同業他社の経営者15名程度での情報交換会を定期的に開催しています。ライバル同士で情報交換なんて考えられないという方もおられるでしょうが、作業の成功例や失敗例を共有するという貴重な機会になっています。新工法の情報は、このミーティングを通じて知ることも多いですね」

また、現場を頻繁に回ることも、北城さんの情報収集活動の1つだ。その主な目的は、個々の現場に即した課題やその改善案を直接聞き取ること。「品質の向上、工程短縮のためのさまざまなアイデアを、積極的に提案してくれる従業員には、いつも助けられ感謝しています」(北城さん)

こうした地道な活動の積み重ねこそ、自社のカラーを創り出すことに役立つはずだ、と北城さんは考えている。

入手した情報を分析し、
業界のトレンドを先読み

photo 動画はこちら

八戸港で防波堤用の被覆ブロック造りに従事するTK550G。完成した成果品を所定の場所に積み上げたり、ブロックの型枠を組み立てる作業をサポートしたりと、八面六臂の活躍を見せていた

新たな技術や工法を実践するには、現場で使用する機械も最新のものをそろえなければならない。そのため、北城さんは機械に関する情報にも日頃からアンテナを張っている。

「先ほどの情報交換会はもちろん、メーカの営業マンにはできるだけ会って話を聞いたり、展示会に積極的に足を運んだりと、情報を収集する機会があればもれなく活用しています」

そうした情報網にかかったものの1つが、油圧式のバイブロハンマーだ。以前は電動式が主流だったが、北城重機興業では電動式よりも軽量かつパワフルな振動力を有する油圧式タイプの情報を入手。これからは油圧式が主流になると分析し、すでに1年半以上前に導入している。このような判断も情報収集のたまものと言えるだろう。

2019年6月、その油圧式バイブロハンマーの相番機として同社が導入したのが、コベルコ製のテレスコピッククローラクレーンであるTK550Gだ。多段式のテレスコピックブームのクレーンは、バランスや強度の面で不安があるという一般的なイメージからか、役所からの発注時にはラチスブームのクローラクレーンを指定されることが多かった。しかし、北城重機興業は6年前にTKシリーズを導入し、役所に提案。その際も周囲の評判を鵜呑みにせず、すでに使用している業者の話を直接聞いて情報収集を行ったという。

オペレータの種市栄さんはTK550Gについて、「テレスコピックブームは組み立てが不要なため、到着して2時間後には作業を始められる」と、組み立てが必要なラチスブームに比べて稼働時間が大幅に確保できることを評価。「前モデルと比べてもカウンタウエイトが脱着しやすくなり、解体もスムーズになりました。旋回時にブレーキをかけても荷ぶれがしにくいので、クレーン初心者でも操作しやすいのではないでしょうか」(種市さん)

今後、55t以下はすべてコベルコのテレスコピックブームに切り替えて、作業効率向上を目指したいと話す北城さん。この先、どんな情報をキャッチして新たな戦略へとつなげていくか、北城重機興業の次なる一手に注目だ。

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種市栄さんは、オペレータ歴40年の大ベテラン。「コンパクトサイズでありながらもパワーは十分。組み立て・解体がスムーズなこともあり、基礎工事の現場ではTK550Gを見かけることが多くなると思います」

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被覆ブロックの型枠。これにコンクリートを流し込み、固まったあとに型枠を外すことで成果品である被覆ブロックが完成する

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2019年6月の導入後、初仕事となった被覆ブロック造りもすでに終盤。このあとは、いよいよ基礎工事の現場で油圧式バイブロハンマーの相番機としての作業が待っている

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最長30.1mまで伸ばせるブームは、最大で27.8mもの広範な作業半径を実現。つり荷作業で実用的な高いクレーン能力を有している

今回の訪問先は矢印

北城重機興業有限会社
青森県八戸市大字大久保字小久保尻17-122
tel 0178-31-3591
山田高弘= 取材・文 神保達也= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Tatsuya Jinbo