コベルコ建設機械ニュース

Vol.248Apr.2020

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運搬性と組立性を重視し、
作業効率を高めて災害対策に挑む

近年、頻発する大雨などの自然災害によって河川の氾濫が相次いでいるが、川底に堆積した土砂を取り除くために必要なのが浚渫工事。新潟県を中心に海上・水上工事を専門に手がける株式会社グリーン興発では、新たにマスターテック7070Gを導入して作業効率アップを目指している。

近年、頻発する大雨などの自然災害によって河川の氾濫が相次いでいるが、川底に堆積した土砂を取り除くために必要なのが浚渫工事。新潟県を中心に海上・水上工事を専門に手がける株式会社グリーン興発では、新たにマスターテック7070Gを導入して作業効率アップを目指している。

海上・河川などの
水上における台船を使用した
工事を専門にするという
強みを活かした経営を続けています

専務執行役員 久住博紀さん

現場との意見交換で、より効率的なコベルコ製クレーンを導入

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組立式台船の上で重い土砂をつり上げる際にも支障はなく、十分なパワーを発揮している

新潟県新潟市を拠点にする株式会社グリーン興発は、台船を使った港湾工事や河川、ダムなどの水上工事を専門的に手がける会社だ。新潟港を中心とした日本海側の海で港湾工事ができるのは海が穏やかな5〜9月頃までに限られるため、10〜3月末までは新潟県内はもとより、近県の河川、ダムでの水上工事を行っている。大雨による増水などの自然災害が増加している近年は、土砂が溜まってしまった河川やダム湖の底を元の状態に戻す浚渫工事のニーズが高まっている。

同社の強みは、工事で使用される台船や作業船の船舶やクレーンなどの重機を操る社員が豊富な経験を積んでいること。一連の作業に関する資格と経験を持つ社員たちが、春から夏にかけて海上で工事した後、秋から冬にかけては河川・ダムでその経験を活かすことができるため、高い作業効率を誇る。

ほとんどの工事にクレーンを使用するが、現在は同社が保有する10数台のクレーンをコベルコ建機のクレーンに入れ替えている最中だ。代表取締役会長の山田精一さんは、コベルコ建機のクローラクレーンを選んだ主な理由として、「サービス体制・製品のラインナップ・ブランドとしての信頼感」の3つを挙げる。そのなかでも、グリーン興発とコベルコ建機の新潟工場の距離が近いため、十分なメンテナンスを受けられることが大きかったという。新規のクレーン導入に関しては、機械に詳しい山田さんが現場で働く社員らと意見交換しながら決定していった。ブランドとしての信頼が厚く、サポート体制も申し分のないコベルコ建機のクレーンに統一することで、効率性をアップさせていく方針だ。

現場の特性や状況に合った
運搬性と組立性

ラインナップ豊富なコベルコ建機のクレーンのなかで、同社では現在、70tクラスのクローラクレーン、マスターテック7070Gを導入している。「今回のダム湖工事には、70tクラスのクローラクレーンが最も適していると思います。浚渫の場合はクラムシェルバケットが重くなるため70tクラスのパワーと作業半径が必要になるからです」と語るのは、専務執行役員の久住博紀さんだ。

「浚渫工事は掘る作業だけではありません。河川の幅に合わせた運搬船でクローラクレーンを運び、台船の上で組み立てて、土砂を掘って、つり上げて、旋回し、揚土する。ここまでが1つのサイクルです。マスターテック7070Gは運搬がしやすく、小回りも利くため、当社が手がける現場では最適だと考えています。大規模な現場でも70tクラスが活躍しています」(久住さん)

一方、山田さんはこの機械のメリットとして「運搬性とともに組立性にも優れている」ことを挙げる。それらの要素に加えて、オプション装備のボディを持ち上げるトランスリフタの利便性も評価しているという。ダムでの浚渫工事に従事するオペレータの羽深遼さんも、組立式台船への運び込みと組み立てが非常にスムーズだったと語る。

「組み立てる際のトランスリフタが跳ね上げ式になっていたり、手すりをスライドさせて格納できるので足場の邪魔にならなかったりと、作業する者のことをよく考えていると思いました」(羽深さん)

高い運搬性と組立性はもちろんだが、現場のスタッフにとっては、作業中のストレス軽減も作業効率のアップには欠かせない。

記録的な大雨で河川の氾濫は毎年のように発生しており、今後も河川やダム湖のインフラ整備としての浚渫工事の必要性は高まることが予想される。

「台船の上からだけではなく、陸上からの浚渫工事も増えていくでしょう。コベルコ建機のクレーンによる工事はこれまで以上に増加すると思います」(久住さん)

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入社10年、オペレータ歴5年の羽深さん。浚渫作業は朝7時から終業時まで繰り返しの操作が求められる。「川底の土砂をつかむクラムシェルバケットを扱う際に使う足のブレーキの操作性が非常に良いので、1日乗っていても疲れが残りにくいです」

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ダム湖に堆積した総量30,000㎥もの土砂を、組立式台船に運び込んだクローラクレーンによって1日500㎥ずつ取り除いていく

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土砂をつかむとバケットが重くなるうえ、台船の上での揺れが加わるため、荷振れや接触を起こさないよう細心の注意が必要

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減トン仕様のカウンタウエイト。河川工事で限られた台船サイズに、最適な能力設定を可能とした

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キャブ内は広く、視界も確保されている。低騒音にも配慮されており、民家が近い河川での作業でも苦情がきたことは一度もないという

今回の訪問先は矢印

株式会社グリーン興発
新潟県新潟市北区すみれ野2丁目20番2号 
tel 025-250-5021
大山くまお= 取材・文 三浦泰章= 撮影 text by Kumao Oyama/photographs by Yasuaki Miura