コベルコ建設機械ニュース

Vol.248Apr.2020

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信頼をモットーに
最終処分場の適切な運用を実現

岩手県大船渡市を拠点に、資源循環型社会の構築に資する事業を展開する株式会社岩手環境保全。2019年1月、同社はBOMAG製レフューズコンパクタを導入した。廃棄物を高密度に圧縮・減容する専用機械を駆使することで、最終処分場の延命化を実現。近隣住民からの信頼に応えている。

岩手県大船渡市を拠点に、資源循環型社会の構築に資する事業を展開する株式会社岩手環境保全。2019年1月、同社はBOMAG製レフューズコンパクタを導入した。廃棄物を高密度に圧縮・減容する専用機械を駆使することで、最終処分場の延命化を実現。近隣住民からの信頼に応えている。

信頼関係を築くために
特別なことをする必要はありません。
毎日の業務を誠実に、
丁寧に行うことが大切なのです

代表取締役 新沼 学さん

長年にわたり、
近隣住民との信頼関係を確立

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埋められた廃棄物が減容され、最終処分場の延命化を可能にする

株式会社岩手環境保全は、1977年の設立以来、製造、建設、サービス、小売り、医療といった幅広い業界から排出される廃棄物の適切な処理やリサイクルなど、環境保護に関わる事業を手がけている。廃プラスチックや木くず、紙くず、ガラス、陶磁器、汚泥、使用済みの医療品など、さまざまな種類の廃棄物を取り扱うことができるのは、同社が中間処理施設に加え、埋め立て処理を行う最終処分場も所有していることが大きな理由。リサイクルに適さない廃棄物を処理する手段を持っていることは、岩手環境保全にとって同業他社にはないアドバンテージとなっているのだ。

代表取締役の新沼学さんは、この強みを最大限活かすべく、近隣住民との信頼関係を築くことに注力している。

「近隣に住む方々のご理解なくして、最終処分場の運営は成り立ちません。そのため当社は、皆様から信頼される事業運営を常に意識しています」(新沼さん)

例えば、周辺の環境に影響を与えないよう、受入基準に合わない不適切なものは最終処分場に決して埋めない、どんなに忙しくても搬入時は車両のスピードをきちんと落とすなど、当たり前のことをしっかりと実行することで、これまでに最終処分場での事故ゼロを実現。安全への確かな実績をもとに、近隣住民からの信頼を獲得するに至っている。実際、2012年に最終処分場を拡張すべく、住民側に許可をお願いした際にも、その話し合いはスムーズに完了。設立以来、近隣住民ファーストで事業を行ってきた岩手環境保全の事業方針は、半世紀近くを経て、住民との間に信頼という確かな絆を生み出している。

専用転圧機の導入で
最終処分場の延命化に挑む

近隣住民との信頼関係を第一に考える事業スタイルをモットーとしてきた岩手環境保全では、19年1月に1台の機械を最終処分場に導入した。それが、BOMAG製レフューズコンパクタBC772RB-2だ。本機は最終処分場の延命化のための専用転圧機で、周囲に突起を施したタイヤ代わりの4つのホイールが、最終処分場に埋め立てられた廃棄物を高密度に圧縮。嵩を減容することで、最終処分場の寿命を延ばすことを可能にするものだ。

「ここ数年の間に東日本大震災の復興工事で廃プラスチックが増えたことにより、廃棄物の密度をより高めて埋め立てなければ、最終処分場がいっぱいになってしまうという危機感がありました。以前はショベルを走らせて廃棄物を圧縮していたのですが、やはり転圧専用の機械ではないため、圧縮というより単に平らにしているといった具合で効果は感じられませんでした。最終処分場の急激な嵩上げは、近隣住民の方々に不安を抱かせることにもつながります。皆様のご理解により最終処分場を設置させていただいているのに、このままではその信頼に応える適切な運用ができないとの考えから、レフューズコンパクタの導入を決定しました」(新沼さん)

実際にレフューズコンパクタを操るオペレータの水野輝実さんは、その効果を日々実感しているという。

「廃棄物の量は増えているのですが、レフューズコンパクタを導入してからというもの、最終処分場の嵩が増している感覚が薄いことに驚いています。その転圧力は、さすが最終処分場のために開発された専用機という印象です。ジョイスティックによる操作は、手首を動かすだけなので腕が疲れず楽ですし、大きなボディサイズの割に小回りも利く。とても作業性の高い機械だと思います」

岩手県内には震災後に建てられた仮設住宅がまだ相当数残っており、その解体で廃棄物の増加傾向に拍車がかかると予想されている。レフューズコンパクタの優れた転圧力への期待は、今後もますます高まるばかりだ。

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オペレータの水野輝実さんは、1994年に入社。その後ショベルの免許を取得するなど、同社の生え抜きとして最終処分場の管理を一手に引き受けている

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1つ5tのホイールが、爪のような突起物で廃棄物を押し込みながら圧縮

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岩手環境保全が所有する最終処分場の面積は、現在1万9,000㎡。今後、さらに拡張する計画もある

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「キャブ内は広くて快適です。エアークッション付シートは揺りかごのようにゆったりとした乗り心地で、とても気に入っています」(水野さん)

廃棄物とともに砕いた瓦をまくことで廃棄物間の隙間が埋まり、レフューズコンパクタの転圧力がより一層効果を発揮する

今回の訪問先は矢印

株式会社岩手環境保全
岩手県大船渡市猪川町字久名畑86-5 
tel 0192-27-1162
山田高弘= 取材・文 神保達也= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Tatsuya Jinbo