コベルコ建設機械ニュース

Vol.248Apr.2020

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特集現場に先進のICT
特集

現場に先進のICTを

現場の各工程から得られる電子情報を活用して施工を行うICT施工。コベルコ建機では、ICT施工のトータルソリューション『ホルナビ』を2016年に発売。ICT施工の付加価値を広めることで誰もが働ける現場を目指し、現場の人材不足解消へ大きく前進した。さて、その先に、コベルコ建機はどんな施策を考えているのか。ICTホルナビ推進室室長の高木徳雄に聞いた。

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コベルコ建機株式会社
ショベル営業本部 営業促進部
ICTホルナビ推進室 室長

高木徳雄

ICT施工の啓発とともに
万全のアフターフォロー体制の確立へ

「ホルナビは現在、そして将来の建設機械に欠かせないICT機能です。作業効率のアップ、人的リソース不足の解消、トータルコスト低減、安全性向上という複合的なメリットをもたらすソリューションなのです」。こう語るのは、コベルコ建機のICTホルナビ推進室室長の高木徳雄だ。

とはいえ、イニシャルコストの高さやICT施工は難しいという理由で導入をためらうケースや、導入したもののホルナビ本来のメリットを十分に享受できていないお客様がいまだに少なくない。そこでコベルコ建機では、2019年度より、ホルナビのメリットや施工プロセスの理解を促す取り組みに力を入れている。

例えば、コベルコ建機日本の支社など全国6カ所で展開する「ホルナビ・ジョブサイト」は、実施工と同等の作業でICT施工のシミュレーションを体験できる仮想現場だ。さらに、これらの施設では3Dデータを活用した施工「i-Construction」の失敗談や苦労話、重要ポイントなど、ICT施工全般にわたる講習が受けられる「ホルナビ塾」もスタート。20年3月から計24回の開催を予定している。

また、測量機器メーカや設計コンサルタントをはじめとするICTパートナーとの連携を強化することで、各種コンサルティングから導入支援まで全国対応が可能になった。施工会社の内製化に向けたコンサルティングなど、導入後のアフターフォロー体制の構築にも注力している。

※新型コロナウイルスによる影響のため、開催中止・延期となる場合があります

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13t以上の機械が必要な大型の工事現場には3Dマシンコントロール(3DMC)や3Dマシンガイダンス(3DMG)、中小規模の道路工事や無電柱化工事などは2Dでカバーする。いずれもチルトローテータが搭載可能で、どのような規模の現場でも全方位的に対応できる

複数マシンで共有できるなど、
中小規模工事にマッチするICTソリューション「iDig」

国土交通省による「i-Construction」の取り組みは、これまで国の直轄する公共工事が中心だった。しかし、最近では地方自治体や民間発注の工事にもICT建機が活用され始めている。そのため、コベルコ建機のホルナビでは大規模工事向けの製品はもちろん、中小規模工事にも活用できるソリューションをラインアップ。工事規模に関係なく、ICT施工をバックアップする体制を整えている。なかでも、中小規模工事向けに開発された代表的な例が、「iDig」だ。

iDigとは、指定した点を基準に、任意の深さや勾配までの距離を表示する2Dマシンガイダンス。オフセットブームにも対応しているiDig搭載機を使用すれば、コントロールボックスのディスプレーに表示される設計との差分をリアルタイムに確認しながらの施工が可能になるため、丁張りの設置数を減らすことができ、事前の測量や準備工の省力化、安全確保にもつながる。さらに、100通りのショベル設定値を登録でき、センサはワンタッチで着脱可能なので、複数のマシンでの共用も実現。キャリブレーションにかかる時間は約1時間という導入の手軽さも特長だ。

ミニショベルの多くに搭載されるドーザブレードを使った敷き均し工程において、ブレード高さと施工面はオペレータの目線位置から見えにくく、高さ精度良く施工するには熟練を要するといえる。「iDig Dozer」はこの問題を解決し、ミニショベル1台で掘削と敷き均しのガイダンスを両立させることに成功した。近年は特にブルドーザのオペレータが不足しており、ショベル1台で両方の施工を可能にすることで施工効率向上と人手不足解消に寄与する。

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ショベルモードからドーザモードへは、モニタ上でワンタッチでの切り替えが可能

足場を整えなくても自由に法面整形が可能。
施工時間を大幅に短縮できる「チルトローテータ」

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狭所や地中に配管などがある現場で活躍するチルトローテータ。2D/3Dマシンガイダンスとチルトコントロールで施工スピード、安全性がアップする

チルトローテータはバケットの傾きと回転を自在にコントロールできる特殊アタッチメントだ。掘削や整形可能な範囲が飛躍的に拡大できるうえ、傾斜地でも機体の足場を整地せずに作業を正確かつ効率的に行える。チルトローテータにICT機能をプラスした「チルトコントロール」なら、設計面に対して常に同じバケット角度を保つように自動でコントロール。ディスプレー表示でバケット位置を確認しながら作業できる。

「国内建機メーカでチルトローテータを取り扱っているのはコベルコ建機だけです。これを使い始めると、もう前のアタッチメントには戻れないという方もいらっしゃるほど、現場のお客様から高く評価されています」(高木)

さらに、都市土木で活用されるミニショベルにチルトローテータとiDigを搭載。両システムを併用することで、地中構造物の破損リスクの低減や施工効率アップ、人員コスト削減を可能にする無電柱化施工の新工法を、「NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワーク」の活動のなかで提唱。小規模工事におけるICT建機活用を促進する啓発活動も行っている。

「ICT建機は大規模工事に特化したものではありません。ホルナビなら、中小規模工事にもICT建機を導入してそのメリットを感じることができます」(高木)

山田高弘= 取材・文 神保達也= 撮影 text by Takahiro Yamada / photographs by Tatsuya Jinbo