コベルコ建設機械ニュース

Vol.255Jan.2022

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特集ロジスティックの新潮流

東条パーツ
ロジセンター誕⽣で現場はどう変わる?

Speed Quality

コベルコ建機の新たなマザー倉庫として、次なる10年を見据えたアフターサービスの充実を図るべく誕生した東条パーツロジセンター。 ユーザが従来困っていたこと、妥協していたことなどが、具体的にはどのように解消され、現場にとってはどんなメリットをもたらすのだろう。 当施設の設立プロジェクトに携わり、現在はマネージメントを担当するコベルコ建機の担当者に聞いた。

Speedスピード
現場への部品供給時間を大きく改善

photo:森田 克彦

森田 克彦

マーケティング事業本部
ショベル営業本部
部品事業推進部
部長

コベルコ建機がお客様に対して行ったアンケートにおいて、新しい建機を購入した約60%のお客様がマシントラブル時の部品の供給体制を気にされているという結果がでました。そのため、東条パーツロジセンターでは即納率の向上に力を入れています。

前述の自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore」はもとより、各所からピッキングされた出荷品を注文番号単位で仕分けるDAS(デジタルアソートシステム)も導入しました。このシステムでは、顧客単位ではなく、注文伝票ごとに仕分け・梱包して出荷するため、製品が販売店に届いてから行う仕分け作業の手間を解消。それにより、お客様に製品が届くまでの時間短縮につなげています。国内であれば当日、遅くとも翌日には出荷することが可能です。

海外向けに海上輸送で発送するパーツに関しては、これまで輸出用コンテナへの詰め作業を外注していました。そのため、横持ち(社内拠点間での輸送など)や業者とのスケジュール調整に時間を要し、発送完了までに2週間程度の作業待機時間が生じていました。しかし、東条パーツロジセンターには、輸出用コンテナへの詰め作業を内製化できるスペースを設置。これにより現在では、注文から発送完了までのリードタイムを20日まで短縮化できました。

コンテナへの詰め作業

輸出用コンテナへの詰め作業の内製化は納品までの時間を劇的に短縮した 

DASで注文番号単位で仕分ける

荷物を注文番号単位で仕分けるDASが販売店での仕分けを不要にした

Qualityクオリティ
万一の時でも的確なパーツを現場へ

photo:三橋 隆三

三橋 隆三

マーケティング事業本部
ショベル営業本部
部品事業推進部
部品ロジスティックグループ
アシスタントマネージャー

パーツの供給体制といったインフラは、ミスなく稼働することが大前提です。本施設では入荷した製品の保管場所の指示から出荷時の仕分けに至るまで、可能な作業はシステムにより自動化し、人間の判断をサポートする業務の仕組みづくりを推進しています。

代表的なものの1つに部品のデータベース化が挙げられます。寸法や重量、各部品の画像や注意点を常に確認できる仕組みを構築。部品に印刷されたQRコードを読み取ると、各種データが表示されるため、実物と見比べながら誰でもミスなく作業を行えます。すでに4万点のデータベース化が完了していますが、目標は注文頻度が高い8万点。ゆくゆくは、東条パーツロジセンターで取り扱う150万点すべてのデータを作成する予定です。ヒューマンエラーによる誤出荷などの不具合を限りなくゼロに近づけるために、スタッフたちはデータベースの作成を続けています。

また、部品のキット化にも力を入れています。キットとは、定期メンテナンス用や、故障しやすい箇所などの部品群をまとめて注文できるよう箱詰めにしたもの。キット化することにより、1つの品番で手間なく注文が可能となります。これらのラインナップを拡大させ、顧客利便性の大幅な向上に努めています。

保管業務では、大型自動倉庫AutoStoreだけでなく、新たな設備として製品のサイズや形状に応じて使用する多彩な保管設備を導入。各部品にとってベストな状態で保管できるスペースを創出することにより、破損などのリスクを回避しています。せっかく部品が届いても、不具合があって使用できないなどのトラブルに遭う心配はなくなるはずです。

スタッフの手によるデータベース化

部品のデータベース化はスタッフの手で毎日のように行われている

大型部品の棚 長尺の部品用や消耗品用の棚

油圧パイプといった長尺の部品用や消耗品用まで、多彩な保管設備で各製品に適した格納を可能にしている

  • 山田高広= 取材・文 text by Takahiro Yamada
  • 那須亮太= 撮影 photographs by Ryota Nasu