コベルコ建設機械ニュース

Vol.255Jan.2022

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業界でも稀な特殊工事に特化
高い技術で独自の地位を確立

愛知県東海市を拠点に事業を展開する株式会社タケモトは、
地下水位低下工事という特殊土木工事の世界において、
他社の追随を許さないオンリーワン企業だ。その優れた技術力で、
全国各地の基礎土木の現場から信頼を獲得し、高いリピート率を誇っている。

愛知県東海市を拠点に事業を展開する株式会社タケモトは、地下水位低下工事という特殊土木工事の世界において、他社の追随を許さないオンリーワン企業だ。その優れた技術力で、全国各地の基礎土木の現場から信頼を獲得し、高いリピート率を誇っている。

独自の経営戦略を図るために、
地下水位低下工事に関する
設備投資に注力しています

代表取締役 竹元鎌二さん

全国でも珍しい地下水位低下工事のスペシャリスト

photo 動画はこちら

今回の現場は静岡県浜松市にある排水機場。増改築工事に向けて敷地内の地下水を排水処理すべく、TK550GSBが相番機として活躍していた

「地下水位低下工事では、日本一の実績がある」と話すのは、株式会社タケモトの代表取締役、竹元鎌二さんだ。地下水位低下工事とは、建設現場などでの液状化による被害を軽減させるために、地下水をくみ上げて強制的に水位を低下させる特殊工事。1966年の創業以来、半世紀以上にわたってこの技術を磨き続けてきた。

「地下水位低下工事に特化した業者は、全国的にも珍しいため、この工事だけやってほしいといった依頼をいただくことも多いです。それだけ、この作業をできる技術者が限られているのだと思います」(以下「」内、竹元さん)

当初は排水設備などを人力で設置していたが、竹元さんが代表取締役に就任後、改革を実施。積極的に機械を導入することで工事の生産性向上を図り、地下水位低下工事業者としての確固たる地位を築き上げてきた。

「地下水位低下工事のなかでも、当社が得意としているのがディープウェル工法です。これは、全旋回掘削機を用いて、筒型の鋼管を地中に圧入しつつハンマーグラブで鋼管内を掘削し、その中に流入した地下水を水中ポンプで強制排水するという工法です」

2020年には狭小地でのディープウェル工法に適した全旋回掘削機を新たに導入。その相番機として選ばれたのが、コベルコ建機のテレスコピッククローラクレーン、TK550GSB(ショートブーム仕様機)だった。

「相番機の機種選定にあたっては、他社製品も含めて検討しました。そのなかで、コベルコ建機のTK550GSBの自力脱着機能にとても魅力を感じました。というのも、当社が行う地下水位低下工事の工期は、その7割ほどが1週間以内。工期が短いので、組立・解体といった作業に時間を浪費することはできません。その点、TK550GSBはクローラやカウンタウエイトの自力脱着ができるなど、半日あれば楽に組立・解体が可能です。手早く行えば2時間程度ですべての作業が完了するのではないでしょうか。さらに、低空頭作業やハンマーグラブ作業に対応したショートブーム仕様機という点も、私たちの仕事には最適だったため、発表と同時に即注文しました」

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オペレータも兼務する竹元さん。ブレーキやウインチレバーの操作性がスムーズで使いやすいと高評価

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ウエイトレスでもさまざまな作業が可能になったTK550GSB。トルクアップしたことにより、つり能力も向上した

TK550GSBの快適な操作性にオペレータも大満足

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TK550GSBでハンマーグラブをつり下げ、筒型の鋼管に挿入。本現場では地下12.5mの深さまで掘削する

取材当時、TK550GSBは静岡県浜松市内の排水機場増改築工事現場で、敷地内の地下水位低下工事のために稼働。代表取締役自らが操縦していた。

「TK550GSBの操作レバーのタッチ感はとても良く、機械をイメージ通り動かせます。ウインチの巻き上げ速度もコントロールしやすく、ストレスなく作業できるクレーンだという印象です。また、優れた静音性にも驚きました。ウインチの動作音なども非常に静かで、今回の現場のような住宅街エリアでも周辺にご迷惑をかけることなく作業することができました」

加えて、ハンマーグラブ操作におけるブレーキングについても、竹元さんは高く評価している。

「ハンマーグラブによる掘削はフリーフォールで行いますが、ブレーキングのタッチ感やフィーリングも良く、操作や調整もしやすい。湿式ブレーキならではの特性だと思いますが、長時間の繰り返し作業で使用していても、常に安定したブレーキ力を発揮してくれます。足に負荷がかからないため、疲れを感じないのもいいですね」

TK550GSBでは、ウインチのトルクアップを施したほか、竹元さんを含む多くのユーザからの要望に応え、2枚補助シーブのチルト機能も採用している。

「細かいことも含めると、本当にたくさんの要望を出したのですが、コベルコ建機さんにはしっかりと応えていただきました。今後もさまざまな業者からのリクエストを聞いて、カスタマイズのニーズを蓄積していくのだと思いますが、それを新機種やモデルチェンジの際の開発に、ぜひ活かしてもらいたいですね」

特殊な工事を手がけるタケモトならではの視点が、コベルコ建機のクレーン開発に与える影響は少なくないだろう。そこから生まれた、より快適で使い勝手の良いクレーンを導入していくことは、同社の工事品質のさらなる向上にも貢献するはずだ。

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ショートブーム仕様機の特長として、荷台からの機械はみだしが少ないため、スムーズに搬入出ができる

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この現場は敷地内の地下水の量が多いため、ディープウェル工法による地下水位低下工事が行われる

今回の訪問先は矢印

株式会社タケモト
愛知県東海市加木屋町大清水220番地
tel 0562-34-3884
山田高弘= 取材・文 三浦泰章・関根則夫= 撮影 text by Takahiro Yamada/photographs by Yasuaki Miura・Norio Sekine